親のための「海外大学サマースクール」入門


日本の大学は過去何十年いったい何をしていたのだろう?

と疑問を持ってしまうくらい、ここ最近色々な大学が「グローバル化」「秋入学」(←事実上頓挫しましたが)「4学期制」と矢継ぎ早の変革をしております。太平の眠りから覚めて、右往左往しているような、昨今の大学改革です。
中でも、今年になってやおら注目されているのが、「4学期制」です。
「1年間が、小中高のように3学期制だろうと、従来通りの前期後期の2学期制だろうと、何が違う?」
と疑問をお持ちの、大学生の親の皆様、そうなんです、わざわざこの制度に変えたことによる恩恵は、大多数の大学生には全くありません。
寧ろ、「一週間に2コマ、8週間で一つの科目を学び終える」ことは、学生にとっては(多分教える側も)負担と緊張を強いられて大変です。
病気や怪我やサークルの試合とかその他よんどころない事情(実家の冠婚葬祭とか寝坊とか)で、一週間学校に行けなかったとしたら、今までなら「1回の欠席」で済んだものが、「2回欠席」になってしまいますから、親の時代とは違って「出席点重視」の今は下手に病気にもなれませんし、遠征試合も考えものです。
教える側も、休講の理由が学会であれプライベートであれ、一週間大学に来ないということは、従来で言うと二週間続けて休講をすることと同じになりますから、負担が増すことは明らかです。
では、何故東大をはじめ早稲田慶應などの有名大学がこぞってこの「4学期制」を取り入れたのでしょうか?
それは各大学が説明しているように、「欧米の大学のサマースクールに行けるようにする」ことが目的なのでしょう。
今までは、欧米の大学のサマースクール開講期(6月上旬〜8月上旬)には、日本の大学はまだ「前期の授業」の真っ最中であり、行きたくても行けなかったから、です。
では一方、何故普通の1年間の留学ではなしに、今まではそんなに耳にすることもなかった「サマースクール」というものが浮上してきたのでしょうか?
それは、日本の有名大学の学生の中で、日本での所属大学のステイタスに匹敵すると彼らが考える欧米の有名大学へ、1年間留学できる条件を兼ね備えた学生、もしくは、数多の困難を乗り越えて1年留学しようという学生が、急いで「グローバル化」を進めようと焦っている各大学の想定よりも少なかったからではないかと私は思います。
海外の有名大学への留学は大変です。膨大な出願書類を準備しなくてはなりませんし、高いGPA(3.5は欲しいところ)とTOEFL(100でも足りない)が要求されますし、英語でインタビューも受けなくてはなりませんし、奨学金だけでは補いきれない(膨大な)経済的負担もあります。
日本の大学入試の出願も一昔前に比べれば複雑化していますが、海外の大学のapplicationはそんなもんじゃありません。それら全てをクリアしての「1年間の留学」は、大変ハードルが高いものなのです。

日本の厳しい受験戦争を勝ち抜いて有名大学にやっと入学した学生たちにとって、


・受験勉強が終わって休む間もなく、GPAを上げるために勉強を続けたり、TOEFL対策の勉強をするほど、頑張れない、頑張る気がしない
・平和な日本のパラダイスのような大学生活から、わざわざ海外の大学へ行って1年間も苦労したくない
・その結果、1年卒業が遅れるのはイヤ、就活もあるし。
・留学に行くとしても、日本の大学のステイタスより落ちる大学や、誰も名前を知らない大学に行く気はしない


というところではないでしょうか。
しかし一方、彼らを待ち受ける就活では「留学経験」は強いカードです。「グローバル人材」(←これって何なのでしょう?)への第一歩ですし。


・1年は重過ぎるけど、英語力も上げたいし、就活にも有利だから、有名大学への短期間の留学だったら行ってもいい


と思うに至るのは当然の帰結です。
「海外への留学生を増やさなければ、『グローバル化』から遅れてしまう」と今頃になって焦る大学と、「1年間の留学は行きたくないけれど、就活もあるし短期なら行ってもいいかも。」と考える学生の双方のニーズが合致したのが、「サマースクール」であり、それを可能にするための「4学期制」なのです。
ですから、サマースクールなんて考えていない学生にとっては、何の恩恵もない制度改革だと言えましょう。



ところで、「サマースクール」とはどういうものなのでしょうか?
欧米の大学によっては、「Summer session」とか「Summer program」と言うところの方が多い気がしますが、さて、ここで又しても疑問を抱かれる向きがいらっしゃるのではないでしょうか?


「親戚で女子大に行っているジャニーズファンの子が、そう言えば何年か前に、『私、夏休みにオックスフォードに語学研修行ってきたんですぅ』と言っていたけど、あれも『海外有名大学のサマースクール』だったのか?」


疑問はもっともです、今までも、大学が募集したり、大学を通して業者が募集する、「海外有名大学での英語研修」というものはありました。有名大学の学寮に泊まって、大抵は二週間(週末は授業がないので実質はたったの10日間)の研修で、一緒に行った日本人の中で英語力によってクラス分けされた授業、つまりクラスメートは日本人のみ、しかも授業は午前中だけ。午後は「エクスカーション」という名の観光。「ハリーポッターの映画に出てくるような、大学のダイニングルームで毎日ご飯食べたの〜」「研修が終わった後は、ピーターラビットの故郷(←湖水地方のことだと思われ)に行って、ロンドンのハロッズでもお買い物した〜」とかいうヤツです。
これは、今回大学が推進したいほんまもんの「サマースクール」とは別物です!!!


夫と息子に数年前に聞いた話ですが、夏のケンブリッジやオックスフォードは、中国人の小学生が整然と列を作って大勢歩いているそうです、小学生ですよ!アジア人(日中韓)の姿もすごく多いそうで。これはどういうことかと言うと、本来のケンブリッジやオックスフォードの学生は、その時期殆どが寮を引き払って、実家に帰るか、旅行していて不在なのです。その学生が不在の時期に、それぞれのカレッジの寮を語学学校などの業者に貸して、「サマースクール」という名の、外国人相手の語学研修をやっているのです。カレッジにもよりますが、その「サマースクール」のパンフレットを見ると、ちゃんと大学やカレッジのロゴや名前が入っていたり、「本学でアカデミックな経験を積むことは、大いにプラスになると信じる」などなどという大学関係者のコメントもちゃんと写真付きで掲載されているところから、語学学校や業者が大学やカレッジにちゃんとロイヤリティを払って、建物を借り、ブランドを借りて、お商売しているものと思われます。授業料や滞在費は結構なお値段するので、「英語は喋れないけどお金はある」という国の生徒や学生しか来られません。ということで、日中韓のアジア人が多くなるわけです。東大や京大もそうやってブランドとリソースを使ってせっせとお金を稼げるといいのですが、何せ何十年も眠っていたので、業者に貸せるような立派な寮やらありませんものね。


で、今頃になってやっと「4学期制」を採用した日本の有名大学は、どうやら従来の「語学研修」という「サマースクールもどき」では、学生の語学力向上にもならず、「留学」の実績にもならず、ということをやっと直視するに至った、というわけです。
大学が本気で「学生を集団で海外有名大学の学寮に滞在させて行う語学研修によって、学生の英語力が向上する」と思っていたのならば、今回何もわざわざ「4学期制」にして学生と教員の負担を増やさなくても、もっともっと「有名大学の学寮に滞在する日本人だけの語学研修」を営業すればいいだけの話なんですから。それじゃダメだ、ということで、やっと本気に取り組み始めたのが、ほんまもんの「サマースクール」に学生を送り込むこと、なのですね。
仄聞するところによると、この従来の「日本人だけの集団護送方式で2週間だけ行った語学研修」のことを「オックスフォードに短期留学してました」と、就活の面接で言う剛の者もいるそうですが、今後は企業の採用担当者もそこのところをよく見極めてほしいものです。



さて、ほんまもんの「サマースクール」とは何でしょうか?「もどき」とどう区別したらよいのでしょうか?
先ず、大学のサイトにちゃんと出ているかどうか、が一番簡単な区別です。

Stanford University Summer Session

UCLA Summer Session

Harvard Summer School

Yale Summer Session

Columbia Summer

Penn Summer

Undergraduate Summer Session at Brown

LSE Summer schools

Summer Programmes Pembroke College, University of Cambridge

これらは、ほんまもんの「サマースクール」だと思われます。
全然関係ありませんが、これら海外の有名大学の見ているだけでも美しいウェブサイトを見て、日本の東大やら京大やら慶應やらのサイトを見ると心底がっかりしてしまいます(早稲田はほんの少しマシ)。あんな見た目も機能もショボいサイトの作りで、「世界中から優秀な留学生を集める」なんて、ちゃんちゃらおかしい!(「あまちゃん」の薬師丸ひろ子演じる「鈴鹿ひろみ」調で)
で、敢えてリンクは貼りませんが、日本語のご丁寧な説明が載っている「サマースクール」は、ほんまもんではないと思います。そういう「もどき」はTOEFLの要求がなかったり、あっても馬鹿みたいに低かったりします。何故そう言うかというと、上記のサマースクールは、UCを除いて、TOEFLは100を要求しています、LSEケンブリッジのpembrokeなんて107を要求しているんですよ。実際それくらいの英語力がないと、ほんまもんの「サマースクール」にはついていけないはずなのです*1。それなのにTOEFLのスコアは問わず、しかもご丁寧に日本語で説明してくれているなんて(サマースクールに参加して向こうの大学の学生と一緒に勉強しようという学生が、英語のページを読めないなんてことがあってはならないでしょう?)、これはほんまもんではない、と思います。
また、とても紛らわしいのですが、日本の私立大学でも「コミュニティ・カレッジ」とか「エクステンション・センター」とか「生涯教育センター」とかいう名前で、語学やその他の講座を社会人や地域の住民に開講しているところがあるように、海外の大学でも大学の名前を冠したカルチャーセンターのようなところがやっている「サマースクール」があったりします。その「サマースクール」は、とても紛らわしいのですが、やはり厳密に言うと、ほんまもんではないと思います。それらはよく見てみると、夏休みでない普段の時期も夜間のコースが多かったり、「サマースクール」のコースであっても夜間のコースが多く設定されているのですが、上記にたくさんリンクを貼ったほんまもんの「サマースクール」ではそのようなことは殆どありえないので、これは、ほんまもんではない、と思います*2




さて、これからが本題です。
せっかく4学期制になるならそれを利用して「ほんまもんの『サマースクール』に行きたい!」と子どもが言い出す前に、実際どういう風になるか、親の立場で一足先にシミュレーションしてみました。
先ず、

大学1年生の夏に「サマースクール」に行くのは無理である

ということですね。それは二つの理由によるものです。
サマースクールは2月〜3月にアプライしなければならないのですが、その頃は入試の真っ最中!とても無理です。
加えて、TOEFLのスコア100を高3の冬までに取得することは極めて難しい、という理由です。
まあ、大学の付属高とか、推薦で入学が決まっている高3の生徒は、頑張ればアプライはできるかもしれません。
けれども、折角多額の授業料を払って行くサマースクールです。大学に入学して2ヶ月しか経ってない時期に行くのと、1年2ヶ月経って自分のやりたいことやら将来を考えてサマースクールに参加するのとでは、後者の方が余程実りがあると思うのです。大学1年で行くには行ったけれども、数多く提供されているコースは履修せずに、英語関係のコースだけ取った、というのでは、勿体なさ過ぎです。


大学1年生の12月までにTOEFLのスコアを上げることに専念する


そうすれば、サマースクールに行ける大学選択の幅も広がります。
そして英語力をつけるのに、親が余計なお金を使うのはやめましょう。手ぐすねひいて待っている英会話スクールとか行く必要はありません。親は大学に入るまでに、高校の授業料のみならず、塾や予備校に多大なるお金を払ってきていますよね。そうやって入った大学です。勿論大学にも多大なる授業料をお納めしているはず。子どもにはその大学をフルに活用してもらいましょう。必修の英語だけではなく、外国人教師が英語でやっている授業をとるとか、学内の留学センターや国際センターみたいなところがやっている英語関係のイベントに出るとか、サークル2つ入るなら1つは英語関係のサークルにするとか、お納めしている授業料をフルに活用して頂きたいものです。また今は、親の時代とは違って、ウェブでいくらでもフリーの英語の教材は見つけられますから、そういうものを利用させましょう。
それから念のために申し添えておきますが、TOEFLという英語試験は1回225$の受験料がかかります。しかもこれは1回で済む試験ではありません、何度も受験することになるものです、その辺もお覚悟のほどを。(参考: 日本のお父さん、お母さん、大学入試や国家公務員の採用にTOEFLが導入されてよいと思いますか?


英語力をつけつつ、上に挙げたような大学のサイトを回って、コースの一覧表など見て(毎年同じとは限りませんが)どこの大学のサマースクールに行って、どんな科目をとりたいのか?をよ〜く子ども自身に考えてもらいましょう。現在通っている大学が面倒見のいい大学ならば、留学関係の部署で相談に乗ってくれたり、過去に交換留学などした学生の資料もあるかもしれません。
親も暇の徒然にネットサーフィンをしてみましょう。どこの大学も「こんな授業だったら、ワタシでも勉強してみたい」と思わされる多岐にわたる素晴らしいコース一覧なのですが、親は自分が行くわけではないので、そういうところはすっ飛ばして、読むべきところは、「Housing」と「Fee」のところです。
先ず「Housing」という、サマースクールの期間中の宿舎について。
サマースクールに参加する全員に、宿舎が提供されるのか?
それは、on campusなのか、off campusなのか?
どんな寮で、どんなシステムになっているのか?
宿舎の申し込みの方法(大抵はオンライン)、お金はいつまでに払うのか、キャンセルはできるのか?
設備なんかは海外有名大学の寮はホテル並に素晴らしいところが多いのですが、見るべきところは、男女別の寮なのか、建物の階によって男女が分かれているのか、バスルームは個室だけど男女共用なのか、専用になっているのか?などをしつこく調べましょう。
大学がある都市の犯罪率なんかも、今はGoogle様が教えてくれます。

そして、親にとっては肝腎の「Fee」です。
それぞれの大学で、書き出し方が違うので、一覧表を作って比べてみないと、感じがよく掴めません。
授業料、宿泊費、食事、は基本として、それに図書館や施設の使用料とか、洗濯代とか、大学によって違います。
また週末にどこかへ出かけたり、イベントに参加したりするためのお小遣いも必要でしょう。
エアチケット代も考えなくてはなりません。
「売るほど有り余っているマイルで行かせればいいから、タダ。」と思っていたら、当てが外れるかもしれません。
夏場はマイルではなかなかチケットがとれないので、正規料金で買うことも想定しておいてください。

そして、「安全」についても親の立場でできることを少々予習をしておきましょう。「日本人がいないところの方が英語が上達する」とばかり、ド田舎にある大学を選ぶと、日本からの飛行機の直行便がないかもしれませんし、空港からバスで3時間、とかいうことになるので注意が必要です、都会は都会で危険ですけどね。
それから、エアチケットを取る時には、現地に遅くとも昼頃に着く便にしないと、暗くなってからの移動は危険です。
そして本決まりになったら、facebookなどで、他に参加する日本人、もしくはどこの国の学生でもいいので、現地の空港で待ち合わせて一緒に大学まで行くようにすると、親は安心です(facebookはこうして活用するものだと思いますね)。



このエントリーは親御さんに向けて書いているのですが、私なりの意見を言わせて頂くと・・・

他の留学もそうですが、本人の「行きたい!」という強い意志がないと、行くまでの面倒くさい手続きは勿論、行ってからのハードな授業はとても乗り切れないと思います。「行けたらいいな〜」程度の気持ちならば、止めた方がいいです。勿論、親が勧めて行かせるものでもありません。
ネットで各大学のサマースクールのベージを見て、かかる費用を概算して驚かれたと思いますが、たった数週間のサマースクールですが、飛行機代その他も含めると、国立大学の1年分の授業料を遥かに超える金額になったのではないでしょうか?
高額の費用をかけてまで行かせる価値が本当にあるのか?よ〜く考えることも必要だと思います。
何もサマースクールだけが就活の切り札ではありません。その金額を他のことに使った方が本人のためにも家族のためにもなる、ということもあるでしょう(その金額があれば、子どもは日本で留守番させて、夫婦二人で海外旅行だってできますし)。
先ず、本人のヤル気を見せてもらうために、上述のように大学1年生の12月までに親の援助なしに(TOEFL受験料くらいは払わされても仕方ないかもしれませんが)本人が自分の力で「TOEFL◯◯点」を取ったら、親はサマースクールの費用を出すことを考える、ということにしてもよいかもしれません。
そして目出たく本人がそのスコアをとってきたらば、本人自身がアプライする事務作業もその英語力で可能、ということですから、志望先が決まっているのならば、本人に出願作業は任せましょう。っていうか、本人が自分でやって隅々まで理解していないと、現地に行ってから何か変更があった時に、誰も頼れない状況でチンプンカンプンになるから、です。親は費用の算段に徹すればよいのですが、その場合でも、あらゆる書類には目を通しておくこと、大学から来るメールは全て親にも転送しておいてもらうことは必須です。

そして。
サマースクールに出願が決まったら、折に触れて子どもに教えましょう、日本では考えなくてもよいドラッグ、アルコール、セックスの問題について。
日本の有名私立中高一貫校を卒業して日本の有名大学に入学し、海外有名大学のサマースクールに行ける実力を持つ、優秀な日本のお坊っちゃまお嬢ちゃまには、想像もつかない世界があります。

日本でも「覚せい剤、ダメ、絶対」というキャンペーンは行われていて、賢い子ならば「覚せい剤は悪いことだ」と理解はしていると思いますが、現実の感覚ではどこか「別世界」というものではないでしょうか。一方欧米の高校生、大学生の間では、日本の感覚だとあり得ないくらいドラッグは浸透しています。
私は海外ドラマをよく観るのですが、海外に赴任するまでは、ドラマの中で高校生や大学生がドラッグを使っているのをみても「これはドラマだからよね。」と思っていましたが、実際に子どもが海外の高校に行ったり、サマースクールに行かせたりした時に体験した話を聞くにつけ、「どうやらドラマの世界は現実らしい」と思うに至りました。
親がお金持ちでインテリでも安心できないというか、逆に「お金はあるけど目が届いていない」状態が一番危険なのではないのかと思いますが、ドラッグは、平和な日本の親が想像するよりも遥かに「そこかしこにある」状態です。
それがわかって海外ドラマを振り返ると、古くは「ER 緊急救命室」のマーク先生の娘(父親は医者、母親は会計士?)は、7年生だか8年生(日本でいうと中学生)だかで「友達がパーティーで使うっていうから預かっていただけ」とコカインをリュックに入れていたり、大金持ちの御曹司でもあるカーター先生(ノースウェスタン大学医学部卒業設定)も一時薬物中毒で施設に入りますし(従兄弟はドラッグで死んでしまう)、ERのインターンだったルーシーという医学生リタリンという錠剤をお菓子のようにぽりぽり食べていました(「試験の前は止められないんです」と言っていたような記憶)。最近では「グッドワイフ」のヒロインの息子(成績優秀な高校生で、父親は上院議員を目指す検事局長官、母親は弁護士)のガールフレンドが普通にドラッグをやっていましたけど、「さもありなん!」と今では納得してしまいます。
また、アメリカだけでなくヨーロッパでも、例えばオランダではマリファナは合法で、「Coffeeshop」と呼ばれるお店で売っていますし、オランダもですがスイスでも、当局が麻薬を配布しています、「麻薬を買う金欲しさの犯罪を予防するため」とかで。
サマースクールでは膨大な本を読まされて夜遅くまで勉強しなくてはならないのですが、そんな時に外人のクラスメート(秀才)に「これを飲むと頭が冴えて眠くならない」と言われ、「眠眠打破」やら「レッドブル」のようなものかと思って飲んだらドラッグだった、という可能性は十分あるということやら、最終日には打ち上げ好きの外人は必ずパーティーをするのですが(「勉強する時は徹底的にする、遊ぶ時は徹底的遊ぶ」のが欧米のエリートですから)、その時に勧められる可能性があるとか、無菌室状態の日本で育った子どもに知識を与えておくことは絶対に必要です。

アルコールについては、最近では日本の大学でも「一気飲み」やら「未成年者飲酒」について厳しくなってきていますが、私はごくごく単純なことを申し上げたいと思います、「欧米人はお酒に強い!彼らのペースで飲んでいたら潰れる!」ということです。医学的根拠があるわけではありませんが・・・。言い換えると、「お酒を飲み慣れている」ということでしょうか。大学2年だか3年だかの日本人が彼らのペースで飲むのは危険です。しかも飲む場所は、安全な日本ではないわけですから。加えて、サマースクールによっては、社会人対象のコースもあって、オジサンやオバサンたちも参加していてパーティーにも当然いたりしますから、彼らに比べたらヒヨッコ同然の日本人の大学生は、くれぐれも彼らと同じように飲んだりしないことが肝要です。

そして、セックス、というよりも「身の安全」と言った方がよいかとも思いますが、特に女の子の場合、夜間は有名大学のキャンパス内といえども、一人は勿論、女の子同士複数でも歩かないこと。万が一レイプされるようなことがあったら、すぐに病院に行って警察にも連絡してもらうこと、妊娠を避けるために72時間以内に「アフターピル」を貰うこと、勿論その場合は「どんなことがあっても守ってあげるからすぐに日本にも連絡すること」と言っておくことですね。
女の子の場合だけでなく、男子こそ、よく言って聞かせる必要があります、サマースクールの間のパーティーで泥酔して、同じく泥酔して意識がない女の子とセックスしたら、それこそ「レイプ犯」として訴えられるということを。相手が外人で親が弁護士だったりするとどういうことになるのか、海外ドラマを見ていなくても想像はつきますよね。


以上は、大学のグローバル化を進める文科省も、下村文部科学省大臣も、留学を推進している大学も言ってはくれないことなので、書いてみましたが・・・。


えっ、「そんな危ない世界にウチのボクちゃん/お嬢を出せない!」ですって?「安全な日本にいればいいじゃない。」ですって?
その判断はそれぞれだと思いますが、これがいわゆる「世界標準」です。
夏休みの時期、海外の空港では、大学生とおぼしき青年たちが、リュックを背負ってスーツケースを引いて移動している姿が大勢見かけられます。長い夏休み、旅行やキャンプや、そしてサマースクールに行くために移動しているのです。
国境を超えて移動していく彼らを見ていると、「夏休みの間ずっとチャリで10分の近所のコンビニでバイトしてお金貯める」「夏休みの間の旅行は友達と行くディズニーと、母親と行く韓国お買い物旅行だけ」というのでは、海外の学生と比して、到底「お子ちゃま」から脱却できなくて、だから欧米の大学生と比べて日本の大学生は「子どもっぽい」のだと、了解されます。
欧米人の大学生とて、上述の「ドラッグ、アルコール、セックス」如きの危険は大学生なら自分で捌けないと世界へは出て行けません。
彼らの親も、別に放任しているわけでもなく無条件に安心しているわけでもなく、あらゆる対策は講じた上で覚悟を以て子どもを送り出しているに違いありません。

というわけで。
子どもを安全な親の庇護下にいつまでもおいておきますか?親の安心のために?
それとも出来る限りの安全策をとり(それでも「100%安全」というものはありませんが)、親が与えられる情報は与え、後は子どもを信頼して送り出しますか?
「海外サマースクール」は、バックパッカーで海外放浪旅行、海外インターンに比べれば、これでもまだ安全な方です、宿は大学の寮であり居場所は大学で、勉強もしてくるわけですし。
問題は、本人の英語力と意欲、そして高額の費用と親の覚悟、ですけどね。



数年先にお子様が海外大学のサマースクールに旅立って、酷暑の日本で「塩を舐め舐め」(子どものサマースクールに多額の費用がかかってバカンスになぞ出かけられませんし、文字通り「熱中症対策」として)子どもが無事に帰ってくることを待ちわびる親御さんにとって、その夏が今年の夏のような「最高気温41度級」の猛暑ではなく、少しでも涼しいものであることを祈らずにはいられません。

*1:これ→ http://ocean-patio.blogspot.jp/2010/01/blog-post.html とか酷いですからね。こういう認識のヒト「初心者でもOKなんですw川・o・川w!!」は、案外いるのではないかと思います。

*2:参考:http://www.summer.ucla.edu/FAQ/faq.htm#Extension