「小学校からの英語教育は百害あって一利なし」朝日新聞夕刊より

今日の朝日新聞の夕刊(東京本社4版)に、講談社とコラボで、教育を考える特集として


『16歳の教科書』特別出張『40歳の教科書』

という広告が掲載されていた。
(http://adv.asahi.com/modules/adtopics/index.php/content0109.html)
その内容は、

「英語はいつから学び始めるべきか?」

という質問に、

言語学者大西泰斗
元日本マイクロソフト社長の成毛眞
今の肩書きよりも昔同時通訳で活躍なさっていた、という方がわかりやすい鳥飼玖美子氏

それぞれが答えている、というものだった。
3氏が口を揃えて主張しているのは、

公立小学校で英語を教える必要などない

ということである。
私の主張と同じで著しく賛成!


ところが、アエラ
 「英語を教えるのはいつからがいいですか?」
というアンケート*1によると、
34%の親が「3歳未満」
39%の親が、「3歳〜6歳」
僅か4%の親が、「中学生」
と答えたそうだ。
どんだけ母集団がDQNなの!
親が英語コンプレックスがある家庭ほど小さい頃から子供を英会話教室に入れたり、それから日本にあるインターナショナルスクールに子供を入れる芸能人が多かったり。そういう親は是非鳥飼玖美子氏がおっしゃっていることを、よ〜く聞いてほしいものだ。
その鳥飼氏ご自身、帰国子女でも何でもなくて高校時代に確かAFSでアメリカ留学、しかも大学ではスペイン語専攻、という方であるが、今40歳以上の人ならば、同時通訳の草分けとして華々しく活躍されていたことを覚えていることだろう。その彼女が言っているのですよ、

変えるべきなのは学校よりも親の意識

と。
それを読んでもわからないDQNな方のために。

週にたった1時間(小学校高学年の場合)、英語で歌を歌ったりゲームをしたりして英語が身に付くと本気で思いますか?
どんなお稽古ごとでも「週一回」では何も身に付かない、ましてや語学などは絶対に!

英会話教室も同様。高いお月謝払って、英語圏のどこの下層階級出身かもわからないがとにかく「ネイティブ講師」の発音にご唱和するくらいで英語が喋れるようになったら、苦労しません、てば。

小さい子が「自然に」英語が出てくるようにするためには、全くの「英語環境」が必要で、子供なりに「英語で」コミュニケーションとらないとにっちもさっちっもいかない、と追い込まれて初めて「自然に」英語が喋れるようになるのだ。例えば、海外でいきなり現地の小学校に放り込まる、といった状況。子供にとっては大きなショックでありストレスである「環境の激変」に何とか対応して英語が喋れるようになっても、それには多くを犠牲にしなくてはならない。例えば、英語にどっぷり浸かれば浸かるほど、漢字はおろか平仮名や片仮名が書けなくなり、親に話しかける時に無意識に英語で話すようになる。つまり日本語と英語をバーター取引しているわけである。しかしそんな犠牲を払ったとしても、そこで体得できるのは、せいぜい「小学校レベル」の英語であって(当たり前なこと)、大人になって社会的に耐えうる英語では全くないわけで。

今年から始まった小学校での「英語活動」について、更に何が問題かと言えば、鳥飼氏も挙げている「教える側」の問題。
今、Googleで「小学校 英語」を検索してみて、今まで英語なんて縁のなかった小学校の先生方が涙ぐましい努力と準備をしていることを公開しているサイトがたくさんあって、びっくりしたのだが、はっきり言って、自分の子供なら、このレベルの先生方にこんな訳のわからない英語を教わってほしくない!
まさに「百害あって一利なし」!(by 鳥飼氏)
それよりも、その先生方の得意な科目、算数でも理科でも国語でも、何でもいいから代わりに教えてほしいと思ったことだ。

この朝日新聞の記事で議論が活発になればいいと思うけれども、夕刊だったし、「ドラゴン桜」の漫画ばかり目立って、
「では、日本の英語教育をどうすればいいか?」
ということはもう一つ突っ込みが足りないかも。
国力というものは、こうやってずるずると色々なところから崩れていくものなのだろうか?

*1:アエラ編集部がマクロミル社に依頼し、ネットリサーチで35歳以下で子どもをもす男性155人、女性155 人から得た回答