NHKあさイチ!「みんなで考えよう!こどもにかかるお金」で、NHKではきっと言ってくれないこと


毎度(?)お馴染み今日のNHKあさイチでのトピック

みんなで考えよう!こどもにかかるお金

無限に子供にお金をかけられるわけはないのだから、優先順位をつけるというか仕分けをするのは当然として、
では子供にかかるお金の中で何を仕分けするか?
今は大学3年生、高校3年生になった二人の子供を育ててきて、それこそ今まで幾星霜、お稽古事や塾に膨大なお金を貢いできた私がNHKが言えないことを個人的に言わせていただくと、仕分けすべき三大悪は、

こども向け英会話教室
公文
中学受験(とその塾代)

だと断言してしまいますね、涙なくしては語れない経験から。


スポーツや芸事。我が家の場合は、
息子:ピアノ(4歳から6年間)、そろばん(2週間)、スイミングスクール(1,5年)、合気道(2年間)
娘 : ピアノ(3歳から計10年間)、バレー(5年間)、スイミングスクール(4年間)、お習字(2年間)、ギター(2年間)
これだけ書き出してみても、一体どれくらいのお月謝を払ったかと思うと恐ろしくなります。けれども、今このリストを見て思うのは、習わせたことに後悔はありません。勿論、娘も息子もピアニストにもバレリーナにも、水泳選手にもなってはいませんが、これらを習ったことは、人格形成に何だかのプラスになっている(と信じたい)と思うから。
そうなんです、ピアノやバイオリン、バレーやダンス、サッカーや水泳、テニスやゴルフやフィギアスケート、お習字やそろばん、そういったものは、将来の「のだめ」や五嶋みどり吉田都熊川哲也やJリーガーや北島康介・・・以下略、を生み出すかもしれないし、我が家の子供たちのように全くそうでなくても、子供本人にとって一生の友となる芸術やスポーツとの出会いになるかもしれませんから、それは親子で「これを習いたい」と思えば、習えばよいと思います。そして身体を使って覚えるものは、やはり小さい頃からの鍛錬というか練習が必要ですからね。私だけでなく一般的に親の心理として、別に芸事やスポーツのお稽古事がモノにならなくても、また数年後には辞めてしまっても、後悔とか「やらせなければよかった」という気持ちにはなりませんよね。或る意味、大袈裟にいうとそれは子育ての中の一つの幸せの形であるわけで、この平和な国だからできることであり、大都市だけでなく地方にもそれぞれピアノやバレーの先生、お習字やそろばんの先生が広く大勢分布しているという、世界的に見れば信じられない程の文化的レベルの高さの日本だからこそできることであり、そして親自身も健康で幾ばくかの経済的余裕があるからできることなのですね。



しかし。お稽古事としての英語については、また別の観点からも考える必要があるのではないでしょうか?こういうエントリーを過去にしました。
「小学校からの英語教育は百害あって一利なし」朝日新聞夕刊より
「鳥飼玖美子さんの意見に寸分たがわず同意」に寸分たがわず同意!そして個人的意見を少々。

別に幼稚園や小学生でやらなくても、中学生になってからでも、否、基礎(文法とボキャブラリー)がしっかり出来ていれば大人になってからでも英語の習得は決して遅くはありません。ガキの頃幼少のみぎりに、英語でゲームしたり、歌を歌ったりできたからと言って、中学高校で英語をちゃんと勉強しないと、結局何にもなりません。つまりはっきり言ってしまうと、
幼稚園から英会話習わせても、英語が喋れるようにはなりません。
喋れるようになるはずないじゃないですか。一週間にたった一回、一時間かそこらのレッスンで!!!詐欺に近いものです。英語でゲームをしたり、英語の歌を歌えるようになったからと言って、それは「英語を喋れるようになった」とは言わないのです。英語でゲームができるようになるのは、単に繰り返しでパターンを憶えるからに過ぎず、英語の歌を歌えるようになるのは、歌詞の意味もわからない艶っぽい演歌をちびっ子がのど自慢で歌うのと同じことなのです。週に1時間未満のレッスン1回では到底無理ということが何故わからないのでしょうか?
それは今日番組の中で或る母親がくしくも本音を漏らしていましたが、
「小学校で英語の授業が始まったけれども、やはり英語を習っていないお子さんは授業についていけないようだ」
という親の自己満足、親の英語コンプレックスの裏返しに、どんぴしゃりハマるように、塾産業が「英会話教室」を作っているとしか思えません、しかも「ネイティブ講師」と言って、英語が公用語の本国では下層にいたとしか思えないとにかく白人の講師を揃えれば親が飛びつくと思っているのですよ、全く親を馬鹿にしているとしか思えません、しかもあの暴利のレッスン料!英語しか喋れないナニー(乳母)かバトラー(執事)を雇って、四六時中、子供が英語でしか彼らとコンタクトとれない状況で子供に英語を身につけさせるよりは安いって?これはアメリカ人の投資家ジム・ロジャーズが自分の娘に実践しているようですよ、但し中国語で。乳母に中国語しか喋れない女性を雇い、挙げ句の果てには、娘の中国語教育のためにシンガポールに移住してしまったという・・・。
つまりまだ知的能力が育っていない子供に外国語を身につけさせるというのは、そういうことなのです、「週に一回50分で中国語が喋れるようになる」のなら、わざわざそんなことしませんよね。
そしてそういう事実を隠して親のコンプレックスや虚栄心につけ込むのが本邦の塾産業。塾ってどこまで行っても隙あらば儲けようとしているお商売なのですよ。例えば、今年の春以降、ずっとGoogleさまが、私のGmailの画面右横に、私の検索履歴&メールから出してくださっている広告が「東進こども英語教室」、早とちりしないで下さいね、我が家の子供は既に大学3年生と高校3年生、「こども英語教室」に通うにはちと無理があります。「生徒募集」でなくて、その東進が今年の10月から始めた子供向けの英会話教室「オーナー先生募集」の広告なわけです、これが。これって「泥棒を見てから縄をなう」?比喩が悪すぎますね、でも生徒募集をかけながら、先生を募集しているような(しかも対象は自宅を提供できる中年主婦がたった10日間の研修で開くような)英語塾に、高いレッスン料を払って行かせる必要があると思いますか?しかもそこの「オーナー先生」は、専門的な知識があるわけでもなく、もしかしたら私程度のレベルの語学好きの主婦かもしれないのですよ?
ちなみに、レッスン料は入会金8.400円に加えて
年少〜年長は1レッスン50分月4回で8,400円
小学生は1 レッスン60分月4回で8,400円
加えて教材費がそれぞれ年額2,100〜4,200円
さて、「オーナー先生」の方はというと、
加盟金(チェーン店ですから)10万円
勿論ウェブ上には利益の分配等については記述はありませんが、小学校1学区あたり1教室しか開店開塾させないようです。
ん?これって何かに似ていませんか?そう、「公文の教室」。まだオムツをしているような子供まで、他の塾に取られないために青田買いのように囲い込むという、およそまともな教育者なら考えられないことをしているところが似ています。

先ほど挙げた過去のエントリーにも書いたのですが、私は持論として学校教育における小学校からの英語教育に反対です。控えめに言っても、無駄だと思います。阿漕な塾産業と同じく、小学校の「週一回45分授業」で何ができるのでしょう?
やっても効果がないものをやるよりも、同じ45分使って、算数や読書をした方が真の意味での効果が上がるというものであり、そこで学んだ算数や教養こそが、実際に英語を喋る時に役立つと思うのですけれど。更にその学校での形ばかりの英語の授業のために、高いレッスン料を払って英会話教室に子供を通わせる価値があるでしょうか?そんなお金のかけ方をしなくても、他に方法もありますし、大体「先取り」や「フライング」して効果があることとも思えません。冷静になって、暫く静観してから考えてもいいことですよ、「子供の英会話教室」。

そもそも幼稚園や小学校低学年で英会話を習わせている親御さんに聞いてみたいのですが、やがて小学校高学年になり、中学受験(これも私はあまり賛成できないのですが)をすることになりそのための塾に行くようになっても、「週一回の英会話教室」に通わせるつもりですか?
「.通わせるつもりである」という方、受験用の塾に払うお金が加算されますから経済的にも更に負担が増して大変になりますし、だいたい子供が、英会話と受験用の勉強を両立させる、時間的体力的余裕がとれないと思いますよ。
「その時はやめさせる」という方。私の持論的には元々効果がない「幼児からの英会話」ですけど、その時にやめさせたら2〜3年経って中学受験が終わった頃には、幼稚園の頃からせっせと通わせた英会話教室で習ったゲームや歌なんかでさえ子供はすっかり忘れてしまってますよ、これは保証します。
それでも、訳のわからない英会話教室に安くはないお月謝を払って通わせますか?そんなことをするくらいだったら、子供のために将来の留学費用を貯金してあげてください。毎月10,000円近く5年も払えば簡単に留学資金になるということを計算したことがありますか?


さて。
閑話休題〈1〉
私の知り合いのあるお子さんに、お父様のお仕事の関係で小学校高学年からヨーロッパで暮らし、イギリスのオックスブリッジにも合格していながら、アメリカのトップ3に入る大学を卒業した方がいるのですが、
「日本の英会話学校で『ネイティブ教師』と言われているガイジン教師の英語がヤバいくらい下層階級の英語である、特に子供相手の教師は酷い。」
と驚いているそうです。
「本国では食い詰めて、特に才能も資格もなく、唯一自然に喋っている英語くらいしか取り柄がない人が多すぎる」
とのこと。思い出したので、一つの参考意見として書いておきます。



さて、公文について。
我が家の子供たちも一時期やっていました。最後は山のように「復習プリント」を溜めて(数百枚とか!)、辞めるに至りましたが。公文について語ると、際限なくなってしまうので、詳しくは別の機会に語るとして、


向いている子もいるし、全く向かない子もいる。
続けている限りは学習した内容を忘れないけど、一旦辞めてしまうと何も残らない。


ということだけ言っておきましょうか。公文もお月謝安くはないです。「塾より手軽」「ウチは中学受験させないから」という理由だけで何年もお月謝を払い続けるほど、効果に期待できるのか、ということを再考されるとよいでしょう。公文の営業妨害をする気はありませんが、数年間年貢のように公文の教室にお月謝を納めなくても、公文出版から公文の考え方に沿った問題集も出ていますから、教室に通わすことを考える前にそれを一度お子様にやらせてみてはどうでしょう?あまりに無味乾燥、面白くない問題集なので、直に飽きてしまうとも思いますが・・・。
とにかく公文を辞めれば/やらなければ、かなりの金額が仕分けできますよ。NHKではそこまで言えなかったでしょうけど。


閑話休題〈2〉
私のママ友に、三人の男の子を育てていたママがいるのですが、かつて彼らが小さい頃(幼稚園・小学校)それぞれの息子にそれぞれの習い事をさせていました。絵が好きな長男には絵画教室(そして彼は美大に行きました)、サッカーが好きな次男はサッカークラブ(彼は今高校で柔道部)、一番ガッツがある三男はスイミングスクール(今は駅伝をやっているらしい)に入れていました。あれ、お勉強方面は?と思うでしょうが、この三人の息子は後に全員中学受験をしたわけですが、頭脳明晰でパワフルな彼女自身が何もしないわけがありません。しかし、子供に、しかも一人っ子ならばいざ知らず三人の息子にかけられる教育費にも限りがあります。その彼女の名言。

「一万円で、例えば塾に行かせようと思うと、お月謝一ヶ月分にもならないけれど、同じ一万円で参考書や問題集や学習ソフトを買おうと思うとかなりの量買えるから、塾に行かない方針でいけるところまでいくつもり。」

勿論、問題集を買ってもそれを子供にやらせるだけの技量は親に必要なのですが、塾に丸投げしても、送り迎えや他の兄弟の生活時間との調整とか、結構面倒くさいことを考えると、家事をしながら問題集をさせる方がラク、という考え方もありますし、大体塾に行かせたとしても、「塾に丸投げ」だと中学受験での成功は覚束ないことは言うまでもありません。つまり言い換えると、最初から外注せずに一度は親の手でやってみることが大事だと思いますけど。


さてさて自然に中学受験に話がいったところで。
これに関しても従来私の個人的意見は、
必ずしも中学受験がよいとは思えない
ということでした、個人的経験でもありますが(下記参照)。
朝日新聞と講談社のコラボ広告:「私立一貫校は幸せのプラチナチケットか?」雑感
猛暑の中の「N」バッグを見て憂えること
夏休みに考える、「中学受験」させるべきか、否か。
「子供が塾に行きたいと言ったから」「子供が受験したいと言いだしたから」という理由で、塾通い・中学受験を決めない方がよいですよ。子供の意志を尊重、と言いながら、実はそれって親の責任放棄、ではないでしょうか?子供には、しかも小学生高学年くらいの子供が、教育システムやら費用対効果とかわかるはずもないのに、親がベストの判断をせずに子供の「意志」とやらに任せてしまうのは、或る意味無責任だと思います。
そもそも、受験塾の先生が中学受験を煽る勧める理由の幾つかの中に、

「公立中学・高校に行くと、授業料は安いが(今は公立は授業料無料♡!)殆ど全員塾に行っているので、私立よりもお金がかかる」

という、真っ赤な嘘があります。
中学受験のために子供は子供で、遊びもお稽古事も見たいテレビも漫画も睡眠時間も犠牲にして子供時代の数年間塾に通って勉強するわけですが、親は親で子供が小学校3〜4年生から、早い子だと1年生や年長から、塾にお金を払い続けることになります。親御さんたち、
「こんな苦労も、子供が第一志望の中高一貫校に合格してくれるたらなくなる」
と、どこかで勘違いのユートピアを描いてはいませんか?
確かに10年前くらいまでは、私立難関中高一貫校の生徒は、学校のレベルの高い授業を中心に自分で勉強をするだけで、浪人すれば別ですが、高校生のうちから塾や予備校に行ったり、ましてや中学受験が終わって第一志望の難関校に合格したのにも拘らずすぐに塾に行き始める、ということはありませんでした。しかし今は難関校の生徒でも、というか、難関校の生徒ほど、早い時期から塾に行っているのが現状です。当然、またしても塾代が発生します。しかも公立の小学校には殆どお金はかかりませんでしたが、今度は当の私立の学校にも安くはない授業料を払わなければなりません。中学受験させようと思っている親御さんは、これをちゃんと認識しておくべきです。つまり、例えば小学校3年生から塾通いを始めて私立中学受験をした場合、下手するとインターバルなしで高校3年まで、もっと下手すると浪人して大学に入るまで、塾・予備校にお金を払い続けるのですよ、それも正規の教育システムである学校以外に!これこそが塾・予備校産業のビジネスモデルなのですけどね。今日新聞やネットを賑わしているDeNAGreeの「最初はタダ、気がついたら膨大に課金されている」ケータイのソーシャルゲームより質が悪いと思います。
勿論、私立難関中高一貫校の生徒で、中一から塾に通う生徒ばかりでなく、学校の勉強だけで塾にも予備校にも行かずに東大を始めとする難関大学に合格していく生徒も確かにいます。
と同時に、公立中学でも、公立高校でも、同じく塾にも予備校にも行かず、学校の授業や補習や先生を上手に利用して同様に受験に成功していく生徒もいるのです。

そして「中学受験」とは「無駄が多くて効果が見込めない公共事業」にも似た一大事業です。また一度レールに乗ってしまうとそれまでかけた費用が勿体なくて「中止」の決断ができないものです、どこかのダム工事みたいに。だからこそ、
「中学受験」をやめて、公立コースで行くとどうなるか?
と一度くらい考えてみてはどうでしょうか?当の子供本人だけでなく家族に心のゆとりが生まれるだけでなく、莫大な金額が家計に生まれることになりますよ。一ヶ月に3万円の授業料プラス季節講習(春夏冬)プラステスト代、で年間ざっと50万円?ですか?一ヶ月5万円だと年間80万円超?生きてくるお金があるということです。それだけあれば、家族全体で何ができるか、を考えてもよいのではないでしょうか?
せめて、「4教科/2教科セット受講」を鵜呑みにしないで、例えば算数1教科だけ塾に行かせて、後は暫く家庭で本人が勉強する、というのはどうでしょうか?算数は4年生から行かせるけれども、国語は6年生の夏期講習から、という手もあります。余りにも塾の「抱き合わせ販売」に乗らされていませんか?細かい仕分けをするだけで、塾代もかなり変わって来ると思います、塾は喜ばないでしょうけど。

そして、「私立の中高一貫校に子供を入れたら後は安心」という道を選ばず、また塾や予備校に頼らないことを決めたなら、きっと親は今よりもずっと真剣に公教育について考え関わっていくようになるのではないでしょうか。それは子供にとって、日本の教育にとって、社会にとって、とてもいいことになるのではないかと思います*1公立にせよ、私立にせよ、学校は教育を、塾や予備校から取り戻すべきであり、それには親の協力がかかせないのですけど。


加えて。「公教育だけでどの子供にとっても十分な素晴らしい教育が受けられる」ということを早急に積極的に示していかなければ、「子育ては大変な上に重い年貢のように教育費がかかる」というこの現実が続くようだと、子供を産んで育てようという若い人々の気持ちをshrinkさせるだけではないでしょうか?

我が家はあと数ヶ月で(予定では)、娘が高校を卒業して大学に入ってくれれば、「塾・予備校への年貢支払い」が終了致します。これまでの長い道のりを振り返って、今この時代に子育てをしている親御さんたちに幾ばくかのヒントになれば、と思います。