受験に於ける「親の責任」に関して私感(小学校〜高校)

中学受験シーズンが一段落したせいか、中学受験について去年思うところを書いていたこのブログが中学受験についての検索を擦るようで、今一度受験に於ける親の責任について書いてみたいと思います。


終わったばかりの今年の中学受験については、それぞれのご家庭が中学受験を決意されてからここまで歩んでこられた過程がおありと思いますので、軽々に何か申し上げることはできないのですが、来年以降中学受験をされるご家庭には、経験者としてのささやかなアドバイスはできるかもしれません。中学受験において「第一志望に落ちる」子供は、実は圧倒的多数なのではないでしょうか?第一志望に据えられる有名校の倍率を考えると、合格発表でガッツポーズをとれる子は受験者全体のうち、三分の一?五分の一?塾の煽り言葉を暫し忘れて冷静に過去の倍率を見てみてください。出願者に比べて合格者はとにかく少数派なのです。我が子は絶対にその少数の中に入る!と確信できる親はいませんよね、合不合判定テストで常に上位にいても、12歳の子供のことです、当日緊張で上がってしまったりということの他に、昨今ではインフルエンザやノロウイルスに罹ってベストのコンディションでは受験できないというリスクも当然ありますから。それら全てを勘案して中学受験の意味をどう我が子と考えるか?が中学受験における親の最大の責任だと思います。塾の煽りに乗って、偏差値順に「第一志望」「第二志望」「第三志望」・・・と受験日がある限り私立中学校を手当たり次第に受け続けた挙げ句、気がついたら「第一志望不合格」「第二志望不合格」・・・そして「第三志望の学校に行かせるべきかどうか?」と悩むくらいならば、受験を始める時に、はっきりと例えば、「開成中学/慶応普通部(注:一例であり何の他意もありません)に行きたいからそこだけを目指す、もし不合格だった場合は公立中学に進み、高校受験で開成高校慶応義塾高校を目指す。」「桜蔭早稲田実業(注‥あくまで一例です)を目指す、そこに不合格ならば高校受験で学大or筑波大付属高校/早稲田実業or早稲田本庄高校を目指す」「スポーツや習い事などに力を入れるため、大学まで続いている学校に行かせたいから、第三志望まで大学付属の中学を受けて受かったところに行く」という、12歳の受験生である我が子が納得できる方針を予め親子で話し合っておくべきだと思います(参考 首都圏高校受験難易度ランキング)。「第一志望合格」のハッピーな結果が出なかった時になって初めて考えることでは実はないのです。これはとてもとても大事なことで、受験云々というよりも、子供自身のそれからの人生観、親子関係にも影響することだと思います。塾への送り迎えとかお弁当を作ることではなく、これこそが中学受験に於ける親の最大の仕事ではないでしょうか。


ついでに小学校受験については、今までも主張しているように、親の責任は重大です。
・中学、高校、大学の受験とは違い100%親が決める受験校の選択が6歳にして子供の将来を狭めることにならないかどうか?
エスカレーター式の学校ならその最上段まで授業料を払える見込みがあるのか?
・小学生の遠距離通学になるなら通学途中のリスクをとってまで通わせる決断ができるか?
・そして中学受験と同じく、もし希望する小学校が不合格だった場合親は子供をどのように納得させるのか?どこでもいいからとにかく私立小学校に入れたいのか(その理由は?)、それとも公立小学校に通わすのか?
特に最後の点については、やはり親の責任として最大のものでしょう、お受験塾に入れてせっせとママ情報を仕入れたり、口コミでお受験用のワンピースを作ってくださるテーラーに注文したり、といったことよりも真っ先に考えておくべきことです。あらゆる可能性(例えば合格確実と言われていても受験日当日に熱を出して受験できないとか)を考えて、地元の公立小学校をネガティブに見てばかりでなく、いい点やもしそこに通わすことになった場合、親としてどう積極的に関わっていくか、ということについても一度は考えておいた方がよいと思います。


高校受験に於ける親の責任というのは、「楽さ」という点では一番ラクではないでしょうか?
どこの地域に住んでいても、高校受験のシステムは中学受験大学受験と比べてシンプルに出来ています。
公立高校を受験するシステムは簡単で、勿論中学の先生方にとっては熟知のものですし、選択肢の少なさが丁度よく、生徒が志望校を設定するのも容易です。私立高校は、進学校と大学付属校と公立滑り止め校にグループ分けされ、それぞれわかりやすい受験システムになっていますし、何より中学校はそこで義務教育終わりですからあらゆる公立中学校に「進路指導」というものがあり、そこでの指導で最低限の高校受験(自分の実力に合った公立高校と、そこが不合格だった場合の私立高校を受験すること)は可能なのです。中学受験の時は、公立小学校は「進路指導」なんてやってくれるはずもありませんから、皆こぞって塾に行って塾で「進路指導」してもらうことになるのですけどね。15歳の中学3年生が処理可能な高校受験のシステムですから、家族で進路についてじっくり話し合うことは必要ですけど、特殊な受験をするのでなければ(県外の高校を受験するとか、芸術系の高校に進むとか)実際に学校を調べたり願書を書いたり出願したり、ということも全て中学の進路指導と本人だけで出来ることなのです。そしてそれが或る意味「自立への第一歩」というか、昔の「元服」の年齢が15歳くらいだったことが納得されるような、大事なイニシエーションのように思います。勿論受験勉強それ自体も、親が主導権を握ってやらせる小学校お受験や、親がお尻を叩いてやらせる中学受験と違って、高校受験は子供が自発的にやる受験です、というのは高校以上は義務教育ではないので、高校へ行きたいのならばどんな生徒でも勉強するしかないですから。ですから、高校受験こそ親の仕事は、「健康管理」と「お弁当作り」と「見守ること」に終始します、それ以上やることはありません。


大学受験に関しては、我が家がただ今真っただ中、ということもあり思いの他長くなり過ぎたので、分割して明日に回します。

参考:今まで書いた受験関係のエントリーですが、同じようなことを重複して書いているのはご容赦ください。

・中学校受験
2019/11/08 首都圏中学受験塾 雑感
2010/02/01 今年も中学入試の季節が・・・。
2010/02/04 極めて個人的意見:中学受験で第一志望が不合格だったらどうするか?
2010/02/05 「何が何でも中高一貫」の必要は全くない
2010/02/06 「中学受験に向いている子」と「私立中学に向いている子」とは違う話
2010/02/12 中学受験と子供の幸せ
2010/04/15 朝日新聞と講談社のコラボ広告:「私立一貫校は幸せのプラチナチケットか?」雑感
2010/07/30 猛暑の中の「N」バッグを見て憂えること
2010/07/31 夏休みに考える、「中学受験」させるべきか、否か。
2010/08/03 「受験アドバイザー」和田秀樹氏の記事を詠んで雑感


小学校受験
2009/11/02 今どき「お受験」(小学校受験)させる親は「死亡フラグ」
2010/11/13 「お受験」不合格はラッキー!であること


・男子校・女子校・共学校について私感
2010/08/22 「共学」がいいのか「男子校/女子校」がいいのか?試行錯誤の果て、結果オーライの体験談 ①男子校 息子の場合
2010/08/23 「共学」がいいのか「男子校/女子校」がいいのか?試行錯誤の果て、結果オーライの体験談 ②女子校 娘の場合その1
2010/08/23 「共学」がいいのか「男子校/女子校」がいいのか?試行錯誤の果て、結果オーライの体験談 ③女子校 娘の場合その2