「共学」がいいのか「男子校/女子校」がいいのか?試行錯誤の果て、結果オーライの体験談 ②女子校 娘の場合その1


(以下、長文注意)
女の子にとって女子校がいいのか、共学がいいのか、については、男の子の場合に書いた時( 「共学」がいいのか「男子校/女子校」がいいのか?試行錯誤の果て、結果オーライの体験談 ①男子校 息子の場合 )とは趣向を変えて、現在高三の娘を持つ私が独断と経験から、先ず最初に「21世紀女子教育のドリームコース」を描いてみる。


共学の小学校 → 女子中学・若しくは共学中学 → 共学の高校 → 勿論「女子大」じゃない大学


でしょうか。
先ず小学校。
女の子だけの小学校、というのは21世紀を生きて行くムスメの教育、という観点からありえませんね。6歳のお受験の時点で、将来医者や弁護士や理系の仕事に就く可能性を大きく奪う、控えめに言っても大変難しくする「女の子だけの小学校」という選択肢は、先が見えない今の時代、まあムスメに

億単位の持参金を持たせてお嫁にやることにしている

か、エスカレーターで上がった先の女子大を卒業しても、企業の一般職どころか

お金持ちの中国人のメイドさんしか就職先がなくても後悔しない

ほどの信念がある親御さんのみが、取りうるものです。小学校から大学までの一貫校の女子の小学校をお受験させる前に、その小学校から続いている高校のホームページで「大学進学状況」を見てみるべきだと思いますよ。そこに出ている進学先へ、12年後にムスメが進学することを望むか否か、考えてみてください。注意すべき点は、別にどこの学校でも同じですが、突然変異的に一人の優秀なお嬢様がいくつもの難関大学に「合格者」として人数を複数回数えられていることもありますから数年分を見比べてみること。まあその優秀なお嬢様だって小学校お受験組ではなく、中学受験組かもしれませんしね。小学校→高校とエスカレーターで上がって、大学は外部を受験するのならば、小学校お受験組は、
6歳以来12年ぶりの受験、になるのです。受験耐性、というか、受験の免疫がないまま大学受験になります。それも考えて頂きたいところです。また、上に続く女子大までの進学を考えていらっしゃる親御さんは、その女子大の「就職状況」を見てみてください。有名企業の名前があっても、それで安心はできません。総合職でなく一般職かもしれませんし(一般職自体、派遣にとって代わられて殆どなくなったそうですが)。小学校からエスカレーター式に続く女子大から、例えば上級職として中央官庁に勤める学生は限りなくゼロだと思いますし、医学部のある女子大もないのですから医者もゼロ、ロースクールがある女子大ないですし、外資系コンサル、IT企業、また資格についても難関国家試験が必要な資格の合格者に女子大出身者がどれくらいいるのでしょうか?
確かにムスメが幼稚園くらいで、娘の将来について大学進学や就職についてまでは考えませんよね、普通。私もそうでした。幼稚園の女の子の母がムスメの将来をイメージせよ、と言われても、せいぜいイメージできるのは小学校低学年くらいまでが限界です。幼稚園の母から見ると、特に女の子の幼稚園児の母の目から見ると、近所の公立小学校の子どもたちは言葉遣いといい行動といい、がさつに見えるのですよね。「流されないでちゃんとムスメを育てよう」という意識がある母ほど、「ここ(公立小学校)でなくて、他の環境で。」と思ってしまうこともよくわかります。そして脳内でムスメに女子校の可愛い制服を着せてみると、あらぴったり!しかし、その瞬間に死亡フラグが立っているのです!そこで立ち止まって考えてから進むことはとても大事です、何せ、可愛い制服が似合う似合わないではなくムスメの一生がかかっているのですから。今目の前にいる6歳の娘だけを見て考えるのではなく、その子の10年後20年後を考えて学校を選んでほしい、ということです。女性でも殆どの職業に就くことができ、実力を発揮できるこの時代に、小学校入学時に既にムスメの将来の可能性を減じてしまうような選択はするべきではありませんし、一方少子化のこの時代、社会にとっても優秀な女性の人材は是非とも必要なのですからそういう有為の人材をみすみす「お嬢様学校」に埋もれさせてしまうのもどうかと思います。高校3年まで娘を育ててみて私がつくづく思うのは、これからを生きて行く
女の子の教育には「逞しさ=タフさ」
を教えることが一番重要であり一番求められていると思うのですね。「逞しさ」とは勿論「がさつさ」ではありません。そして小学校時代に男子と競うことは大事な経験です。小学校高学年は女子の方が、身体的にも精神的にも発達が早いので、勉強でもスポーツでもまた学校の様々な行事でも女子がリーダーシップを取りやすいのです。この「成功体験」はとても大事だと思います。幼稚園や小学校から大学までエスカレーター式の女子校だと、これが一切なくて社会人なのですよ。それだけを考えても、国公立私立関係なく、女の子は小学校は共学、であるべきだと思います。更に今の時代、地元の小学校でなしに電車で通う私立の小学校は、それでなくても通学時に危険が多いことも事実です。表には出てきませんが、変質者に電車の中で絡まれたり、話しかけられ付きまとわれたり、という事件も多々あるようですし(これは学校は対処してくれません、警察になります)、もし大地震が起こったら、とか災害に遭ったら、ということを考えても電車通学は小学生、それも女の子にはリスクが高すぎます。



さて。
共学推進はの私ですが、それでも中学校3年間については女子校もいいかも、と思っています。男の子の場合と同様、身体が変化成長する時期であり且つ自意識が過剰に高い中学生という一時期の一部の生徒にとっては、日本の公立中学校とは、残酷&過酷なシステム以外の何物でもありません。オールマイティーに何でも出来る子か、勉強はそこそこでも人前に晒される部分(運動神経とか体型とか)ではあまり劣等感を抱かなくてもいい子ならば、十分公立中でも生き抜いていけるでしょう(詳しくは[]。でもそうでない場合、やはり選択肢として、中学校受験をする→私立の中学校は圧倒的に女子校が多い→女子校へ行く、ということになるのでしょうか。ところが、ここで私の理論は大きな破綻を見せます。私立の女子中学とは即ち「中高一貫校」であり、中学で入ってしまったら、高校受験なしに6年間通うことが前提になっています。故に、「高校は共学へ行かせるべき」という次の理論に繋がらないのです。
共学の中学→共学の高校、というコースではなく、女子校の中学→共学の高校、というコースは、制度上は可能ですが(例えば、中高一貫校の女子中に行っていて国立or都立高校とか受験する)というのは、まだまだ「フツーの選択肢」ではありません。しかし、実際存在することは存在します。例えば2008ミス東大八田亜矢子さんは桜蔭中学→筑波大学附属高校という経歴ですし、娘の高校にもちらほら。但し現在の状況、「中高一貫で中学のうちからどんどんカリキュラムを進めていく私立女子中学」の中にいつつ、「高校受験用」の勉強をして「もう元の私立学校に戻れない高校受験」をするのは、とても大変なことだと想像します。まあ、中学3年生というのは本人の意志もはっきりと出てくるでしょうから、本人が「高校は共学へ行きたい」と強く希望した時、親としてどうサポートしていくか、ということでしょうか。


(まあ、何とか共学の高校に辿り着いて頂くとして)
そして共学を一番お勧めするのは、高校です。
別学推進者が女子校の良さを挙げる時に必ず出てくるのが、

女子だけなので男子の目を気にせず伸び伸びと過ごせる。
女子が生徒会長も部活のキャプテンもやり、リーダーシップを伸ばせる。
「男子=理系」「女子=文系」という固定観念に囚われずに勉強や進路選択ができる

ということらしいのですが、以上は、私から見るとどれも何か間違っている、と思うのですね。大体男子がいる場所・場面でこそ伸び伸びと自分を出していかなくてはならないのであって、「女子の集団では伸び伸び」だけど「男子の前ではもじもじ」ではお話にならない訳で、女子校の中だけで伸び伸びしててどーする!と言いたいですね。しかもこの「伸び伸び」は、反面「男子がいないからやり放題」ということもあるようです。「女子高の時、夏は暑いから皆スカートをまくって扇いでいて、若い男の先生が教室に入ってきてもわざとやめない」という「伸び伸び」とした行動も聞いたこともありますし、電車などで清楚な女子高の制服を来たお嬢様方から聞こえてくる会話の言葉遣いの酷さは、ハンパじゃありません。まあ「女子高だから言葉遣いがキレイ」ということ自体、バイアスがかかった見方かもしれませんけど。
そして「女子高では男子がいないので、女子が生徒会長やるのでリーダーシップを身につけられる」と言いますが、これがまた噴飯もので、実際に社会に出た時に「女子の中だけで通用するリーダーシップ」って何の価値があるのでしょう?男子もいる集団の中でのリーダーシップがとれなければ、組織の長とはなれないのです(除くAKBと宝塚)。勿論そのリーダーになるための手腕は、女子だけの集団で通用するものでは役に立たず、男女混じった集団で通用しなければ意味がないのですから。
そして、共学の方が実は親の精神衛生上少しはマシなのではないかと思う、21世紀ならではの要因があります。今の女子高生の親の世代には存在しなかったモノ、あり得なかった状態があります。
そのモノとは「携帯電話」。
あり得なかった状況とは進学校だろうがお嬢様学校だろうがほぼ全員塾へ行くという社会状況」
ですね。
「携帯電話」以前の時代には、女子高に通う女の子は、家と学校の中間で男の子と連絡を取り合う、ということは不可能でした。勿論知り合う機会さえ限られています。男子高の文化祭に行ってナンパされるか、または路上でナンパされるか。しかしその場合でも「携帯電話」以前の時代には、継続的に連絡を取り合う方法は極々限られていたのですよね。電話番号を教え合っても、それは今の「家電(いえでん)」であって、相手にたどり着くまでは、相手の家族が電話口に出るかもしれないという関門を乗り越え、更に衆人環視ならぬ家族が「異性からかかってきた電話」ということで耳をダンボにして電話の会話を聞いている状況でしか、異性とは連絡をとることはできなかったのです。それが今は、家を一歩出たところで、「携帯」を使って男の子と電話もできるし親が知らない約束もできるわけです。家の外だけではなく、夜中に男の子とメールも電話もできる状況ですよ。知り合うきっかけも、ネットがいくらでも提供してくれます。プロフ、ブログ、mixi、そしてTwitter。私はTwitterは巨大な「出会い系サイトらしくない出会い系サイト」だと思いますよ。画面上だけでなく、オフ会も頻繁に開かれ、男の子と出会う場には事欠きません。勿論「塾」もその一つです。コンビニの発達で、放課後空腹の心配をせずに塾に直行できるようになったこともあり、塾&予備校へ通うハードルがとても低くなりました。大学受験のないお嬢様学校の女子高生たちが「◯◯ちゃんも△△ちゃんも塾に行き始めたの、私も勉強したいから塾に行かせて!」と親におねだりすれば、親は行かせますとも!しかしそこが運命の分かれ道。塾とは勉強のみしに行くところではありません。Boys meet Girls.この心配をしなくてはいけません。中学受験のために通っていた塾には、親も度々足を運んでいたことと思いますが、高校生の塾には親は殆ど行きませんよね。一度こっそり行ってみるといいですよ。「女子高にムスメを入れておけば、心配ない」と思っていた考えが吹っ飛びますから。
で、何故共学がよいかというと、勿論共学の子も携帯持ってますし、mixiTwitterもやるでしょうが、基本は同じ学校の男子生徒だと思うのです。片思い、カップル、どちらにしても、目の前に男子がいる共学の学校生活が基本です。同じ学校の生徒同士ならばまだ(ここ強調)安心です。何かあったら、相手の親に怒鳴り込むことができます。けれども、どこの誰と付き合っているかもわからない、付き合っていることさえ親には見えてこない状況、というのが一番不安なのです(身を以て経験中)。余談ですが、私は、約10年後くらいに、東浩紀氏や宮台真司氏が「現役JKの父」になり、そしてJKのお嬢様たたちが、携帯とTwitterを駆使してパパたちが知り得ない世界で楽しすぎる青春を送る姿を、どういう気持で眺めるのか、とても楽しみにしていることを告白しておきます。
さて。
大事な勉強面についてですが、
実は大学受験で男女は初めて同じ土俵で争う
ってわかっていますか?小学校お受験は各学校の生徒募集は「男女各◯◯名」であり、実質「男子同士」「女子同士」の競争ですし、中学受験もしかりです。四谷大塚でも日能研でも、テストの成績や順位は「男女別」です。「男の敵は男」「女の敵は女」です。高校受験ですら(定員が埋まらない高校は別ですが)、男女別で選抜されます。大学受験になって初めて男女の別関係なく選抜されるのです。東大の募集要項には、「男女各1500人」(男女共同参画社会ですから一応数は平等にしたとして)、とは書いてありません。入試成績順に上から3000人学生を選抜するのです。言うまでもないことですが、その他全国立大学も早稲田も慶応も皆そうです(除く女子大)。そんな状況の中で、女子も男子と競って勉強しなくてはならないのに、「女子だけの方が勉強がはかどる」なんて呑気なことを言っている場合なのか、と思います。普段の学校生活の中で自然に男子もいて勿論同性の女子もいて、その中で授業を受けテスト勉強もする、というのが一番自然であり且つ強味になるのではないでしょうか。


息子の例を出しつつ「男子校」について書いた時と違って、娘個人の今までの歴史について書くのは最後になってしまいました。長くなったので続きは明日へ。