「お受験」不合格はラッキー!であること

今日は
13日の金曜日
だけど、この週末までに東京近辺の私立小学校の今年の合格発表は終わったのではないか。まだ国立が残ってはいるけれど。

合格した人数より不合格だった人数の方が遥かに多いのだから、「お受験」して思うような結果を得られなかった年長児を持つ沢山のご家庭がこの週末暗い雰囲気で過ごしているのかも。くれぐれも、子供の気持ちを考えてほしい、不合格が原因で夫婦喧嘩なんて以ての外。子供が察して余計に傷つくだろうから。

是非ここで頭をリセットして、これから21世紀を生きて行く子供にどんな教育を施したらいいのか、を考えてみてほしいのだが、そうすれば、
「不合格」も人生トータルで見るとラッキー!
であった、と思えるかもしれない。

そう、今から20年後、今回「お受験不合格」だった子供が自分の進みたい道に踏み出している頃を想像してみてほしい。
以下、私が勝手に妄想したシチュエーション:

「○○ちゃん、国家試験にも合格して念願のお医者様になって本当におめでとう!今だから言うけど、小学校受験の時に○○小学校にもし合格して行っていたら今日の日はなかったわよね。あそこの学校は授業料はもの凄く高かったけれど、併設している大学には医学部はなかったんだから。他所の大学の医学部を受けて合格するだけの学力と競争力も小学校からあそこの学校に行っていたら身につかなかったわねえ。今にして思えば、あれは神様が不合格をくださったのよ。」

「○○ちゃん(この場合は女の子)、財務省に入省おめでとう!日本のため、国家のために働きたい、という貴女の望みがかなったわね。今だから言うけど、小学校受験の時に、お嬢様学校を受験させて不合格になったのは、ママが本当に馬鹿だったからね、貴女は女の子ばかりの環境よりも、共学で男の子ともバリバリ競い合って活躍するタイプだったのね。貴女の責任感も使命感も男の子以上なのに、女子校に行っていたら今の貴女はいなかったわ。今にして思えば、本当にあの時あの○○女子校を不合格になって一晩泣き明かしたのが嘘みたい!」

「○○くん、若手建築家としてコンペで優勝おめでとう!今だから言うけど、小学校受験の時に○○幼稚舎にもし合格していたら今日のキミはなかったと思う。あそこの大学は理科系が弱い上に工学部に建築科がないんだから。あそこに言っていても大学では建築は学べないのだったら、本当は受験する意味はなかったんだね。まあ6歳のキミの建築家としての才能を見抜けなかったパパが悪いのかな。でも今にして思えば、あの時に不合格になって良かったんだよ。」

いくらでもバリエーションは妄想できますが、この辺でやめておく。

私は東京で「有名私立小学校」と呼ばれている学校を否定しているわけではない。おじいちゃまもパパもおじちゃまもおにいちゃまも通った、通っている学校がたまたま例えば○應幼稚舎であるなら、是非行くべきであるとは思う。また極めて学校が近くで、「近所のよしみ」的親しみがあって通うのもまたよし。また宗教的理由で私立小学校を選ぶのもまた理解できる。

そして、今首都圏に住んで、多少の経済的余裕もあり、教育熱心ならば、どうしても目の前の「お受験」こと小学校受験に傾く親の気持ちもわかる。公立小学校に行かすのに疑問を持つ気持ちも。

しかし。
この時代、つまり先の見えない不況であると同時に、社会の競争が今まで以上に厳しくなっている状況の中で、前世紀(20世紀)のように小学校から私立に行かせることに意義があるのかどうか、ということを冷静に考えてみると、決して賢い選択ではないということにならないだろうか?

今年長児の親であれば、今は小学校受験のところまでしか視野が開けてないかもしれないが、はっきり言って世間の常識では(「お受験」界は世間の常識とはかけ離れたところにあるからして)、学歴の勝負は大学、
なのである。卒業した小学校なんて功なり名を遂げた人のプロフィールになんて書かれやしない。また中学受験や高校受験でコケても敗者復活で東大に入る子は沢山いる。そう!そうなのである、誰も言わないけれど、「お受験」の難関を突破して入った小学校からは、「東大」という象徴的な意味での最高峰には殆ど辿り着けない、のである。

それに税金を払っていながら、私立の小学校に授業料を更に払うというのは、コスト対効果という点からもそれだけの価値があるのかどうか?将来「東大」ではなくて私立大学に行かせるために税金は払いつつずっと授業料も払うことになるのだが、その分のお金で全く別のことが子供にしてやれるのではないか?
教育的見地からも、公立小学校に行ってそこで勉強することは、もしその子が将来政治家や官僚になるのならば、是非とも必要な経験になると思う。前にも書いたが、小学校から大学まで私立に行って、「教育改革」が語れるはずがないし。

ということで、「お受験」不合格はラッキーなことだと得心して貰えたら嬉しい。
でもくれぐれも、小学校入学したらすぐに中学受験を目指して塾通い、なんてことはしないでほしい、そんなことをしたら子供が潰れる。
中学校受験は今受験勉強期間が長くなっている、下手すると小学校の間ずっと「勉強、勉強」と親も言い続ける羽目になる。
それよりお得なのは高校受験!「次の受験は高校受験!」と肝を据えて、小学校時代を受験に振り回されることなく謳歌すればいい。
子供にとってもたった一度の人生なのに、その一度きりの子供時代を「お受験」に続いて中学受験で奪うのは親として余りにも残酷だから。
親にとっても、子供が小学校時代というのは二度と帰って来ない大事な人生の時期なのだから、目一杯一緒に楽しむしかない、楽しく充実した子育ての時はいずれ必ず過ぎ去ってしまうのだから。

明日、いや今日のうちに、膨大な量の「お受験」関係のプリントを全てゴミ袋に入れて処分したらすっきりすること間違い無し。
と言っているうちに13日の金曜日も過ぎて行く。