ドスコイ酒場&三渓園&筑波山

一昔つまり10年程前、子供と一緒に(いやそれ以上に)テレビゲームにはまっていた私だからか(今はもうすっかり足を洗った)、「着物」という言葉と「経験値」という言葉をついいつも結びつけてしまう、まあ普通じゃないのだろうが、着物を着ての色々な機会に出くわす度に、「経験値」と言う言葉が私には妙にしっくりくるのである。

今日は私の着物経験値が一挙に跳ね上がった。
それは、

①今までの人生の中で、連続着物装着時間が最高の14時間!という最長不倒記録を達成したこと
②着物で初めて「飲み」に行ったこと

で得られたものなのだが、②に関しては「飲み」も「飲み」、初心者コースをすっ飛ばして、

いきなりちゃんこ鍋、「ドスコイ酒場」(店名)!

家族には「お友達と和食のお店に行ってくる」と言って出かけた、確かに「和食」は「和食」だから。
「和食」のお店で妙齢のマダム4人、「とりあえずビール」に始まり、日本酒をお供に、1ポーションがお相撲さんバージョンで量がフツーの1,5倍か2倍くらいののお料理を片っ端から注文し、ちゃんこ鍋に至っては、味噌味と醤油味と2種類も、

ごっつぁんでした!

ただいくら紬*1の着物でも、お相撲さん予備軍のような若い衆がお料理運んでいる店内ではかなり浮いていましたが。
一緒に行ったお友達が前回このお店に一緒に来た別のお友達は、何とこの「ドスコイ酒場」に

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でいらしたそうなので、それは想像を越える「浮き具合」ではなかったかと。
さて私はそれだけ食べても、帯も全然苦しくなることなく、ちゃんと電車で帰ったので、今までの着物経験値は無駄ではなかったと思われる。



実は去年の秋こそ、私の「着物経験値」が一挙に跳ね上がる2大イベントがあった。
一つ目は、

雨ざんざん降りの中の三渓園@横浜*2での茶会


このお茶会は「五流茶会」と言って、三千家に加えて江戸千家、石州流の五つの流派が三渓園の中のそれぞれの建物でお釜をかける(お茶席を設ける、の意)もので、晴れていればさぞ雅なお茶会だったと思われる、

晴れてさえいれば。

しかし。
現実はじゃんじゃん降りの雨で、着物の上に着物用雨コート(というものがあるのです)を着て、雨用の草履を履き(昔は雨だと下駄だったようですが)、傘をさしてお茶席を巡るのは、難行苦行だった。
ところが意外にも一緒にお茶席巡りをした年配のおばさま群は、

雨の日の着物Ex(経験値)が私なぞより遥かに高い!

普段洋服の世界では人並み以上に素早く行動できているのではないかと思われる私が、正に落ちこぼれ状態でよれよれになりながら、おばさま方の後をついてほうほうの体でお茶席巡りをしたのだ。
けれども、転んでもタダでは起きない私。
これを反省して、先ずネットを駆使して着物の「雨用グッズ」を買い集め(ドラクエの武器屋、道具屋みたい)、次の戦闘、じゃなかったお茶会に備えたのでした。
やはり「くさりかたびら」と「せいなるないふ」の威力はスゴイ!
というわけで、もう私は雨の日完全制覇、というか今では雨の日に着物で出かけることは全然平気。
ただ「着物を自分で着る」というだけでもハードルが高かった昔を思えば、よくぞここまで経験値を上げたものだと思う。

さて、経験値を上げたもう一つのイベントとは、

着物でバス日帰り旅行

これもかなりの難易度の高さだった。
そもそもお茶の先生方の会で、横浜から茨城県筑波山のお寺に茶筅供養に行くイベントがあって、当初は私なんかよりずっとずっと先輩の方が先生のお供で行くことになっていたところ都合が悪くなられて、不肖私にピンチヒッターの白羽の矢が立ったのだった。
当日朝6時には着物着終わってましたからね、私。
観光バスに乗る集合場所は、横浜駅西口の天理ビル前。
ここは、横浜方面の大型観光バスの停留所になっているみたいで、当日は朝早くから、ハイキング姿の老若男女で相当混雑していた。
そこで周囲とは全く異質のある一団。

新興宗教

ではありません、しかしそれに近い。

全員着物、

でバスに乗り込む私たちのことです。
フツーのツアーと違うところはそれだけではない。
バスの一番前の席左右2つ、を占領しているのは、片方が御歳88歳の我が先生、もう片方が先生の盟友御歳87歳のこれまた先生。
このお二人が最前列に乗っ取り、マイク握って団体に号令出す、ってスゴくないですか、このツアー!
私は着物でバスに乗って気分が悪くなることだけは避けたかったので、勿論酔い止めの薬は飲み、朝食も控えめに食べてきたのだけれども、何がびっくりしたって、ずっと車中で食べ物が回ること!
先ず我が先生から、
「朝早かったから、ご飯食べてないでしょ、はい、このお握り食べなさい。」
とお握りを渡される私。
「あの・・先生、申し訳ないんですけど私食べてきたのでご遠慮致します。」
・・・バスのエンジン音のせいなのかかそうでないのかわからないが、先生には私のつぶやきは聞こえていない・・・師の命令は絶対であるからして食べましたよ。
その他、飴やおせんべいは勿論、クッキー、かりんとう、一口羊羹、等々、これでもか、これでもか、と回ってくる食べ物は途切れることはなかった。
けれども、気が張っていたせいか(先生のお供、ということで)気分が悪くなることもなく、また目的地に着いてから、急勾配の石段を上がってお寺まで歩いても、着物で全然平気だった。
ただ帰りのバスで、大先輩の横の席だったのに思わず眠気で意識が遠のいてしまったけど。
バスの中で思ったこと:

「今この瞬間、着物着た人ばかり60人ほど(しかも推定平均年齢60歳以上は確実)を乗せて走っている非常に特殊なバスは、

日本全国でこれ1台だけ

かも。」

この日を以て、私は、

「着物で一日バスに乗れてしまう!」という経験値

を獲得したのでした。
そして、今日。
プロフィールにあるように、座右の銘

「毒食らわば皿まで」

なので、これからも着物道の経験値を上げることに励むつもり・・・でも疲れた!