朝ドラ「カーネーション」 尾野真千子さんによる糸ちゃん、最終週が始まって

何の前触れもなく、今朝、月曜の朝っぱらから、直ちゃんが結婚してしまいました!!!

直ちゃんのウエディングドレス姿を見られたので、嫁入り衣装のシーンがなかった優子よりはマシ(優子の結婚式の衣装は箱に入っていたところを見ると洋装のようでしたが)、と申しましょうか。けれども直ちゃん役の川崎亜沙美さん(プロレスラーの方とは思えません!)、直ちゃんの成功の道のりと共にどんどん綺麗になっていきますねえ。ウエディングドレス姿も本当に輝いていました。


糸ちゃんは、若い頃からお客の洋服をじゃんじゃん縫っていても、自分はかなり後まで着物で仕事していましたが(周防さんへの気持ちに気がついた頃、やっと自分が縫った白いブラウスとスカートを着ましたよね)、娘たちの結婚式や開店パーティーやお正月は、さすが呉服屋の娘!というか、ちゃんと着物を着るのですよね。優子の結婚式の時は貫禄ある黒の留袖、直ちゃんの結婚式や開店パーティーは上品な訪問着で、呉服屋の娘やさかいごっつう決めちゃる!という感じでしたよね。数多の他の朝ドラなら、糸ちゃんのこの洋服と着物の「二刀流」を、「洋服を作っていても心は日本人」とか「日本人なら着物も着られなきゃ。」とヒロインに説教臭く語らせるのでしょうが、それがないところが、このドラマのいいところですよね。

また、優子を演じている新山千春さんには悪いのですが、優子が表している長女的なもの、即ち
「おっとりした良い子で、周囲が自然に助けてくれて、本人もそれを確信しているから綺麗事を言えるキャラ」、
これは従来の朝ドラのヒロインキャラだったのですが、それを新山さんが一手に引き受けて演じていますよね、パロディすれすれの難しいところで。これは新山千春さんの演技力でしょう。優子が結婚する日の朝(優子は髪の毛をカーラーで巻いたまんま、服はまだ花嫁衣装でなくて普通の洋服)、警察に詐欺で逮捕された負い目で娘同然にかわいがってきた優子の結婚式に出るのを遠慮しようとする北村(そのくせ、ちゃんと紋付袴で式に出る気満々なのですが)に、涙をためて「おっちゃんに式に出てほしいねん!」という優子とそしてそれに感激して泣きながら優子を抱きしめる北村を見て、直ちゃんが呆れ顔で言う台詞が
「何で泣くねん?」
ですからね。普通の朝ドラなら、直子も一緒に抱き合って泣くとか、他の家族も涙ながらに見守るところですが、小原家の人間は誰も泣いていません。そして入る糸ちゃんのナレーションが、
「そんな茶番が今日もまた繰り返されて」
なのですね。朝ドラのヒロインのナレーションとも思えぬこんな台詞が痛快で、私にとってはここが、今までの「時計代わりの朝ドラ」と「カーネーション」を画しているポイントなのです。そして仕切り直しの出発シーンでは、直ちゃんも最初は自分がデザインした孔雀のような羽がついたドレスだったのが、今度は呉服屋の孫娘らしい振り袖に着替えさせられているのですが、どこか満更でもなさそうな様子。この描き方もよいのですが、それはさておいて、本心は出席したいくせに遠慮するフリをする北村と彼を引っ張って行く直子・聡子。そんな三人の様子を糸ちゃんはというと・・・。
「茶番、茶番。」
と言いながら家族の最後尾を歩むのですからね。従来の朝ドラの感涙ポイント、視聴者感動ポイントを全て外してくれちゃってます。だからこそ本当に怒ったり悲しんだりする時に涙をとっておけるのです。最近だと、東京の下宿で一人風邪を引いて寝込んでいる直ちゃんのところに千代おばあちゃんが看病に行った時の直子と千代おばあちゃんの会話。直子が布団を並べて寝ているおばあちゃんに「長生きしてえな。」そして千代おばあちゃんの返答「まかしとき!」というシーンに私は朝っぱらから号泣してしまいました・・・。ここで千代おばあちゃんに「ありがとう」でも「直ちゃんがそう言ってくれたから長生きする」でもなく「まかしとき!」と言わす脚本に感嘆してしまいますが、こういうシーンで泣かせるために、従来の朝ドラのお約束の感動シーンはわざと描かれないか、もしくは「茶番」すれすれに描かれているのかもしれません。


カーネーション」への偏愛の余り長文を綴ってしまった先だってのエントリー*1に、

この「カーネーション」という花の名がタイトルである意味が、最終回までいってどう説明されるのか?

と書いたのですが、どうやら「カーネーション」の花言葉が最後の週のタイトルになって、その花言葉の選び方によってそれがわかるのではないか、と私一人で勝手に合点しています。
ファンには周知のことだと思いますが、朝ドラ「カーネーション」は、週毎に小見出しというかタイトルがつけられています。例えば先週は「鮮やか態度」、先々週は「あなたを守りたい」なのですが、それはそれぞれ「ルドベキア」、「エンゼルランプ」という花の花言葉なのです。出典はNHKのウェブサイトの「カーネーション」のページです。第一週のひまわりの花言葉「あこがれ」からこれは始まっています。このまま順当にいくと、最終週の花が「カーネーション」で「カーネーション」の花言葉がその最終週のタイトルになるのではないか?と思うのですが、一方調べると、カーネーション花言葉はたくさんあって、

「女性の愛」「感覚」「感動」「純粋な愛情」「真実の愛」「愛情」「情熱」「熱愛 」 「熱烈な愛情」「母への愛」・・・

赤いカーネーションだけでもこれだけあります(カーネーションは花の色別に他にも山ほど花言葉があります)。どの花言葉を使うのか、脚本家の渡辺あや氏が、最後の最後にそれをどう出してくるのか、それが楽しみでたまりません。