しかし、女の子を育てるには「ほめ」が必要?

昨日のエントリー (「ほめる子育て」に異議あり、NHK朝いち「人生を変える驚異のほめパワーを見て) において、
「ほめる子育て」について懐疑的なことを書きましたが、今度は少し観点がズレるのですが、見方によっては真逆なことを書いてみたいと思っています。


女の子は、毎日「あなたは可愛い、カワイい、かわいい!」と言い続けて、精一杯可愛がって育てよう!


ということを。
まあ、小さい頃ならいざ知らず、いつのまにか自分よりも図体が大きく成長遊ばされたJKの娘に、「カワイいわよ!」と言うのはかなり心理的抵抗がないか?って?
ありませんね(きっぱり!)、小さい頃からずっと言い続けていれば、大丈夫です!

何故、私が娘をこうやって(毎朝、「今日は髪の毛いい感じね!」「目がキラキラしてるわよ!」「お肌つやつや!」「色が白くなったわね(当社比)!」と言って、娘を送り出すです)育てているのか、その訳は。

娘が生まれた頃、女子高生、それも世間的には「お嬢様学校」と呼ばれている学校に通う女子高生が売春をして補導された、というニュースがありました(「援助交際」なんていう言葉のまやかしが出始めた頃?)。立派な両親のもとに育ち、最高の環境で教育を受け、潤沢なお小遣いを貰っている女の子たちです。当時のワイドショーだったかで解説していたのですが、


「周りからはどんなにか恵まれた家庭だろうと思われていても、そこに育っている子にとっては違うこともある。躾が厳しく、良い成績をとっても当たり前、常に非の打ち所無く振る舞って当たり前、という環境だと、単純に「君は可愛い」と自分の「素」をありのままに肯定してくれる男にお金を稼ぐのが目的でなくついていってしまうのではないか。」


というようなことでした。
まだ乳飲み子の娘を抱っこしつつそれを見ていた私は、
「じゃあ、家で毎日『あなたは世界で一番カワイい、カワイい!』と言えばいいじゃないの!そんなことで、ムスメの非行が防げるのならば!」
と思ったのでした。そして今に至る・・・。
実は最近わかったのですが、ムスメの幼なじみ関係のママ友の一人が、やはり当時その「お嬢様学校の生徒が売春」のニュースとその解説を聞いていて、私と同じく「◯◯ちゃん、かわいいっ!」と毎日言ってムスメを育ててきたそうです。
「ほら、観葉植物だって毎日話しかけると葉の艶がよくなるっていうじゃない?だから、運動部でかなり筋肉ついたムスメの背中に向かって『◯◯ちゃん、今日もカワイいわよっ!」って言ってるのよ。」
とのことです。同じ志を持つ者がいるとは、心強い!

これは昨日書いた、「ほめる子育て」とはちと違う、のですよ、念のため。
「ほめる」とは、何かに対してほめるのですよね。「人参食べられた」、とか、「シャンプーする時頭から水をかぶっても平気だった」、とか。一方、娘に「あなたはかわいいっ!」と毎日言うのは、どんな状態であれ無条件にあるがままに「あなたを全肯定してるから!」ということなのです。大事なのは、「カワイい」に定型はない、ということ。少々太めでも、目が二重まぶたじゃなくても、髪の毛がサラサラじゃなくても、あなたにしかない魅力がぜ〜〜〜〜〜ったいにある!ということを、日々知らしめることなのです。
常日頃感じているのですが、日本の女の子が、皆が皆揃って同じような服を着て同じようなお化粧をしてそして同じような貧相なボディ、という貧しいステレオタイプを目指すのは、自分と言う個性に自信がないから、なのではないかと思うのですよね。もっと自分自身に自信とプライドを持つべきなのですが、これはやはり小さい頃からそう信じていなければできないことであり、そう信じさせることができるのは、母親だけ!なのです。


母親といえば。
子供たちがドイツのインターナショナルスクールに行っていた時のこと。息子の同級生に、Lauraというドイツ人の女の子がいました。息子と彼女は同じボランティアチームに入って、夏休みに一ヶ月タンザニアに行くプロジェクトに参加したのですが、そのタンザニア行きに関してチームのメンバーの保護者が集まって話し合う、という機会が数回ありました。そのLauraのお母さんは、毎回出席していました。お父さんも何度か一緒に参加していました。Lauraのお母さんは英語を話しますが、決して流暢な英語という訳ではありません、勿論日本人に比べたら、流暢だろうがなかろうがとにかく「言いたいことはきっちり喋らせてもらいます」という迫力で押し切っていた感もありましたが(話が逸れますが、彼女の英語は、文法はまるでドイツ語のまんまで、例えば過去形であるべきところを全て現在完了形で喋ってました、というのは、ドイツ語の口語では過去形は、英語のhave動詞にあたる動詞プラス過去分詞、なのですが、それをそのまま強引に英語に当てはめている訳で。)。まあ、そんなことより、彼女が喋っている時にいつも出てくる忘れられないフレーズがありました。それは、自分の娘Lauraのことを、
「My beautiful daughter Laura」
と言うことです、必ず!!!最初にヒアリングした時には、「ぷっ!」という感じだったのですが、何故ってドイツ人の女の子といっても色々タイプはありますが、Lauraは決してデュッセルドルフ出身の元祖スーパーモデル、クラウディア・シファー

に少しでも似ているとはお世辞にもとてもいえないのですが、それでも彼女の母が上手くもない英語で枕詞のように、
「My beautiful daughter Laura」
と何度も繰り返すのを聞いているうちに、何と言うのか、ドイツ語にも、否、ドイツ人が喋る(下手な)英語にも、日本語と同じ「言霊」があるのでしょう、きっと。Lauraが何だか輝いて見えてくるのですよ。本人が安定していてだから滲み出てくる自信みたいなものが、彼女を内面から輝かせているというか。母は恐るべし。
で、見倣うべきなのです、日本の母も、Lauraの母を。
「蝶よ花よ」という言葉があるように、女の子は可愛がって可愛がって育てなくては。別に「甘やかせ」とか、「女だから可愛がるだけでよい」ということではなく、寧ろ逆に、女の子ならば誰しも将来直面する様々な困難に立ち向かうためにも、「自分に対する絶対的な肯定感」というのが、必要だと思うからです。それがないまま年を重ねていくと、内面的に成熟すべき年齢の40を過ぎても50を過ぎても、質(たち)の悪いカタログのような「女性誌」例えば、

とか


とか

とか 
を必死で追いかける羽目になりますよ、自分をありのままに肯定できていないと。大学生/短大生を対象に創刊された「J J」(この謎の雑誌名ってこの出版社のドル箱週刊誌「女性自身」の頭文字から来てるそうですが)に始まって、どんどん年齢層を高く設定した雑誌を作ってきてどこまで行くのでしょうか?私が生きているうちに、「80歳の女性をターゲットにした女性誌」というのができるかも?そんな雑誌を追いかける無様な中高年女性にならないためにも、女の子には小さい頃から「自己肯定感」というものを育ててほしいのです。


そしてこれは一見似ているようでも、やはりNHKご推奨の「人生を変える驚異のほめパワー」とは別物だと思えてきました。
ムスメに「カワイい」と言い続けることは「ほめ」じゃない。また、「社会適応力をつける」「人間関係を潤滑に」といった何か「効用」を求めてのことでもないのです。母が、母だけが娘にしてあげられる無償の愛、無条件の愛、じゃないかと思います。子供はあっと言う間に育って、親のもとを離れていきます。虐待なんてしている場合ではないのですよ。


最後に。
「ほめる」ことからは話が飛びますが、JK及びJK予備軍を育てているお母様方、ムスメ育てに迷った時にお薦めの一冊があります。これで泣いて、泣いて、そしてまたムスメ育てに立ち向かう勇気を取り戻してくださいな。今のところ、私は一ページ目で既に泣けます。ムスメとバトルした時には、意地でも一ページ目では泣きませんが、二ページ目では涙を押さえられません。さあ、お試しあれ!

ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)

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