IKEA港北 雑感

ATMでも何とかトーナッツ屋でも古くはアイスクリーム屋でもデパ地下の人気ショップでも、無意味に列を作って延々と待たなくてはならない状態というものが大嫌いなので、「どうしてもその場所に行きたい(食べたい)/行かねばならない(食べねばならない)」時には、「朝一番」で行くことにしています。歳を重ねると先人の言葉「早起きは三文の得」という言葉が身に滲みます。
昔、娘が幼稚園時代に娘と同じクラスにいた或る強気の女の子の強気のママが、
「私は子供を毎日誰よりも早く『一番』に幼稚園に連れて行くことにしているの。一番に教室にいてお友達を迎える立場になると、子供に自信がつくのよ。何であっても『一番』てそういうことよ。」
と言っていましたね、あまり好きなタイプのママではなかったし、「自分の子供さえよければいい」というオーラ濃厚の人でしたが、妙にこの言葉だけはいつも思い出されるのですね、私が珍しく「朝一番」で何か行動する時には。

という訳で、今朝開店と同時に私が足を踏み入れたのは、IKEA港北店。土日の混雑を考えると卒倒しそうなので(レジ待ちの列を見れば納得!)、休み明けの月曜日である今日出かけたわけです。

実は「早起きは三文の得」という鉄壁の掟に従わずに4月の初め、地震の後ずっと休業していたIKEA港北店が再開した2日目の日曜日の夕方、という最悪のタイミングに娘と出かけて(大学生になる娘が早く部屋の模様替えをしたいと主張したので致し方なく)、その日はあまりの混雑に入店規制までしていて、店内も休日の渋谷か銀座と見紛うばかりの人混みで、いくら勝手知ったるIKEA*1効率よく買い物をしようとしてもカートが進まない状態。地震の後だったので、2階のショールームの床が人の重みで抜けないか心配しました(世界中のどこのIKEAもこれほどの店内人口密度を予測して作られていないと思うので)。少しでも時間を短縮しようと(勿論Webで買いたいものの目星はつけておいて)お買い物ルートを進行矢印に従わず勝手にショートカットしてさっさとレジのあるホールへと向かったら・・・それでもレジ待ちで40分でした。そして買ったものが娘の机、本棚、大型鏡、だったので配送を頼むために更に配送カウンターの前で1時間待ちでした。
娘の机

娘の本棚

娘用の大型鏡


レジと配送カウンターでの長い長い待ち時間の間、娘はご存知IKEA名物
「自分でピクルスやオニオンが詰め放題のホットドッグ」

( ↑ これ100円です)

「ソフトクリーム」

( ↑ これ50円です)
を、「なつかし〜、ドイツのIKEAといっしょ!」


(ドイツのIKEAでは、ホットドッグが1ユーロ、ソフトクリームが0,5ユーロ)
と言って嬉しそうに食べていたのですが、
「何だかドイツのIKEAとお店に来ている人が違う〜。日本のIKEAの方が、来ている人がずっとお洒落よね。ドイツのIKEAってダサいジーンズはいた太ったおじさんばかりだった気がする。」
と言うのですよね。
実は私もレジや配送カウンターの列に並んでいる時に感じていたのですが、確かIKEA港北は、東京の城南地区と神奈川県を配送地区としてカバーしているからなんだと思いますが、それだけではなく、日本ではIKEAは「お洒落なブランド」として、下層というよりは寧ろ新しモノ好きの富裕層に人気があることが理由なんだと思いますね。本当はIKEAの家具は、ニトリとかよりもずっとリーズナブルだと思うのですが、日本では海外から来た新しいもののアーリーアダプターは本国でのターゲット層と関係なく、今も昔も富裕層なのですね(マクドナルドなんかもそう)。
娘が言う通り、「ドイツのIKEAでは絶対に見かけない!」と断言できる、上品なライトグレーのスーツにパンプスでお孫さん(と言っても大学生か?)らしき若者たちと一緒に配送センターの列に並びつつ、「IKEA名物50円のソフトクリーム」を召し上がっていらっしゃる年配の女性がいたのですが、それはそれでとても素敵ではあったのですが、本当にドイツとは客層が違いました。

欧米の都会には(否、田舎にも)、IKEAは死ぬほどあるので、海外で暮らしていた時に行ったことがある人は沢山いると思いますが、私もドイツで生活中は大変お世話になりました。安物家具だけど、そこに永住する訳でもない駐在員には如何にもお手頃、という理由で、ご当地の住民の方々のうち、とてもセレブとは呼べないない方々と共にIKEAをご愛顧していたので*2、日本に帰国して、全く海外と同じ仕様のIKEAがあることを知って、びっくりしたものです。海外のIKEAに行っている時には、勝手に
「こんな安物の家具、大味な商売は日本人には受けないだろう、日本で展開するのならば、日本流にカスタマイズしないと無理よね。」
と思っていたのですが、実際は違いました。



出来上がった家具を買うのではなく、お客は広大なモデルルームを見て欲しいものを決めて、巨大な倉庫でセルフで欲しい家具の部材をピックして買う

というIKEA独特の方式は私がご愛顧していたドイツのIKEAと全く一緒です(途中にスウェーデン料理を食べさせるレストランがあって、レジの前にはホットドッグやアイスクリームを食べさせるコーナーがあるところまで)、建物の設計まで同じと言ってもいいくらい。日本のお店の客層が本国よりも高いということは、IKEAにとっては嬉しい誤算でしょうか。

しかし、僭越ながら一言二言グローバル企業IKEAさまに言わせていただくというか、スーツにパンプスの素敵な老婦人をして「IKEA名物50円ソフト」を食べさせてしまうIKEAさまだからこそ、私は言いたいことがあるのですが、


それでもやはり日本向けにカスタマイズする必要がある

ということです。それはどこかと言うと、日本ではIKEAでなくても他のお店であっても、大型家具の部材を買った場合、配送を頼むことが普通だと思うのですが、どうせ配送を頼むのならば、

「自分であの巨大な倉庫から部材をピックしてその部材をえっこらさとカートに乗せてレジに並び、嵩張りますからレジでも時間がかかりますし、その上またまたその大型部材を乗せたカートを押して配送カウンターまで運ぶ」

というIKEAお約束の一連の流れは、お客にとっては無駄な労力ではありますまいか?最初から配送してもらうことを決めてる人は、伝票だけ持ってレジに並び、伝票だけ持って配送カウンターに並ぶ、というシステムにしてもらえませんでしょうか?そうすれば、店内の混雑も長い行列も緩和されますし。そしてお客がいない時間、営業時間外に、電動カートで一括して商品をピックして配送する方がずっと効率的ではないでしょうか?この点を日本の実情に合わせてカスタマイズしてほしいのですけど。


ドイツでは、自分で持って帰るからこそのIKEAであって、配送カウンターなんて誰も並んでいない
という実態、というかドイツ人特有のケチ精神が果敢なく発揮されていて(ドイツ人ならば配送料払うくらいなら友達にトラック借りてでも自分で持って帰るでしょう)、配送を頼むお客は殆どいないでしょうから、現行のIKEA方式でよいと思いますが。
配送料なんてものにお金を払うのならば、そもそもIKEAで買う意味がない
と考えるドイツ人と違って、日本人はそこまでケチじゃないし、客層も違って「配送料」も値段の一部と合理的に考えられるのではないかと思いますから。



IKEA港北の客層と「配送カウンター」に並ぶことに関して私見を述べさせていただきましたが、もう一つ、私は日本のIKEAにまつわることでびっくりしたことがありました。
IKEA港北の配送区域内にお住まいのお二人のマダム、どちらもかな〜り優雅なお暮らしをなさっているマダムなのですが、或る時別々の機会にお会いする約束をするべくスケジュールを伺っていたら、お二人から偶然こういう全く同じ台詞が聞かれたのでした!!!

「あっ、その日はIKEAの人が家具の組み立てにくるから、外出できないのよ。」

つまりこの発言に含まれる内容を整理すると、

・(このセレブのマダムたちが)ドイツの下層民庶民の家具屋(Originはスウェーデン)であるIKEAで家具をお買いになった。
・それも組み立てが必要な大型家具のようである。
・マダムたちはご自分で(もしくは家族の誰かが)組み立てずに、お金を払ってIKEAの人に組み立ててもらおうとしている。

という驚愕の新事実!!!なのでした。
確かにIKEAには、サービスとして「家具組み立て」は存在します。日本のIKEAのウェブページには、

家具組み立てサービス

組み立てのお手伝いが必要なお客さまには、家具組み立てサービスをご用意しています。
宅配サービス(指定配送エリア内)をご利用のお客さま
1階の宅配カウンターで宅配サービスと同時にお申し込みください。

組み立て料金
組み立て希望の商品購入価格の20%(最低料金:3,000円、IKEA Familyメンバー価格の場合は、通常価格の20%となります。)
壁固定、その他付帯作業は別料金になります。
(中略)
宅配サービスをご利用にならないお客さま

下記組み立て専門会社にお客さまご自身で組み立てサービスをお申し込みいただけます。その際は組み立て料金のほかに出張料金(5,000円、配送エリア内のみ適用)が必要となります。あらかじめご了承ください。(指定配送エリア外への出張料金は、組み立て専門会社に直接お問い合わせください。)

イケア指定 家具組み立て専門会社(IKEA港北担当) 電話×××ー××××
                      (IKEAのWebページより)

とあります。しかし、前述の「配送料」と同様、

この発想はドイツ人(そしてスウェーデン人)にはない

でしょうね。ドイツのIKEAのWebページを見てみると、同じような組み立てサービスはあるにはありますが、最低料金79€(1ユーロ=118円 で計算して 9,322円!)もしくは商品購入価格の10%ですよ。最低料金だけで、ドイツのIKEAではそこそこの家具が買えてしまうのに、それと同じだけ組み立てにお金を払うほど、ドイツ人(の下層の人々)は気前よくないというか、組み立てサービスにお金払えるくらいだったらIKEAで買わないと思います。

ドイツ滞在中に、色々経緯があってもの凄いディープなホームセンターに行ったことがあるのですが、そこは普通のホームセンターに置いてあるものは勿論ですが、バスタブ、とか、陶器の洗面台、とか、トイレの便器、や普通に、部屋のドア、とか売っていて、ここまでならば「東急ハンズにだって売っている」というかもしれませんが、あの人たち(=ドイツ人)は、それを車に乗せて持って帰るのですよ。ってことは、あの人たち(=ドイツ人)自分で取り付けちゃうっていうことです。日本でここまでする人いませんよね。でも、IKEAの家具ってもともとそーゆー人たち向けなのだと思いますね。


しかし、実は。
ドイツで組み立てた家具からカウントすると、私は多分「最も多くのIKEAの家具、小物を組み立てた日本女性(但し店員以外)」の少なくともベスト10に入る自信ありますね。ベッドも机も椅子もダイニングテーブルも小型の引き出し家具から大型の引き出し家具(←ここまでがドイツ編)、無数の収納ボックスに組み立てボックス、大型電気スタンド、チェスト、本棚、机(以上日本に帰国してから)・・・。ドイツ時代は、赴任直後で夫が超多忙で仕方なく文字通り女手一つで作り始めたのですが、これがハマると結構楽しいのです!!!大きな「工作キット」なのです、IKEAの家具!部材はもう切ってあるのですから、言語が全く書かれていなくて図だけの説明を見ながら(←これ最初は多言語に対応してのことかと思ったら、「字が読めない人=文盲」対応だと聞いたことがあります、ていうかそれがIKEA)作るのですが、これが楽しい〜〜〜!作れば作るほどに安物の家具ということを忘れて(実感はしますが)、愛着を感じてしまいますよ。IKEAオリジナルの工具セット

まで持っている私って・・・。




さてさて今日買ったものは、



上記3つのものは、娘の部屋の整理整頓のため。どうして今どきの娘はあんなに持ち物・プリント類が多いのか!
そして「安い!」と思わずカートに突っ込んで買ってしまう、いつものIKEA病発動して買ったもの




それから懐かしの(?)スウェーデン料理セット



この何てことない肉団子(娘は「ドイツのIKEAで買った肉団子の方が「にく〜!」って味がして、これは日本人向けにマイルドになっている」と言いますが、私も同感)を冷凍のままオーブンで焼いて、クリームソースの素でソース作って、肉団子にかけてサーブして甘酸っぱいリンゴベリージャムを添えて食べるスウェーデン料理なのですが、この「果物を肉に添える」というのは、癖のあるお肉のレシピとしてはポピュラーらしく、鴨にオレンジ、子羊にいちじく、は一般的ですが、鹿さんや猪さんや兎さんのお肉を食する時にも大抵果物が添えてあるのです。ということから私はドイツ滞在中は、「このリンゴベリーのジャムを添えるということは、これはきっとトナカイのお肉が入っているんじゃ?」とずっと疑っていたのです。ともかく、「一年に一度食べるならば美味しい」スウェーデン料理です。
更に懐かしさのあまり買ってしまった食料品

このポテトチップスの「いも〜!」という味は外せません。
そしてホットドッグセット

10本分のホットドッグが作れるセットが¥1,090なのですから。
(セット内容:ホットドッグバンズ 1袋 / 冷凍ソーセージ 2袋 / ローストオニオン 1個 / ピクルス 1瓶)
要するに、レジ前の売店で売っているものが、ご家庭でも作れるということなのです。


で、10:00開店と同時にIKEAに入った私は、結構ゆっくりと見て回ったのですが、これだけのお買い物をして、帰宅したらば、何とまだ12:30でした(自宅が港北区内なので)。しかし、珍しいことをしたからでしょうか、天気予報とは裏腹に、帰宅する頃から雨が降ってきた(それもかなり激しく)6月終わりの月曜日だったのでした。

*1:ドイツ駐在中は大変お世話になりました。

*2:そろそろIKEAは下層ブランドだと言っておこうか。