ドイツのSpargel(シュパーゲル)こと白アスパラガスとSauce Hollandaise(オランダ風ソース)雑感

ドイツではこの季節、白アスパラガスことSpargel(シュパーゲル)

のシーズンである。

ドイツ人にとってのSpargelとは、日本の新堀の筍か秋の松茸、という感じなのだが、意外なのは、常に高カロリー食品を好むドイツ人なのに、Spagelは殆どゼロカロリー、ということ。
春の訪れと共に、八百屋やMarkt(マルクト)と呼ばれる市場やスーパーで売り出される他に、街角や道端にテントが建ってそこで売っていたり、

何にでも堅牢を宗とするドイツゆえかなりがっしりしたSpargel専用のスタンドがいきなり建ったりします。

ドイツ人でない我々にはびっくりなのですが、毎年4月上旬くらいから徐々に市場に出てくるこのアスパラガス、ある日突然お店からも街角からも姿を消すのです。ドイツに赴任した最初の年、渡独した時期が丁度5月の末で、Spargelの旬の時期。最初はドイツ語できなくても何とかなるスーパーでおっかなびっくり買い、そのうちに八百屋で、そして一番新鮮で美味しいのは街角のスタンドである、ということを急速学習して、せっせと買って食べていたところ、ある日いつものように街角に買いに行ったら昨日までそこにあったスタンドはなかった!!スーパーにもない!八百屋にも!その時はドイツ語文盲の時期だったので、何故昨日まであったSpargelが今日は売っていないのか?と尋ねることもできませんでした。その日は6月25日。前日の6月24日はドイツでは「聖ヨハネ誕生の祝日」らしいのですが、その6月24日までしかアスパラガスを出荷してはいけない、と法律で決まっているとか。規則が好きで規則なしには生きていけないドイツ人をよく表しているとは今では思いますが、その当時はわからずに、「昨日までどこでも売っていたものが今日は町中から姿を消してしまった」ということに狐につままれたような、SF世界の中の話のような、奇妙な感覚を味わったものです。


どこのレストランに行っても、白アスパラガスを使った料理が必ずメニューに載っているのもこの季節ならでは!と言っても、ドイツ料理ゆえ豊富なバリエーションがあるわけではないのですが。
最も代表的なのが、

・ただ茹でて、それにオランデーズ・ソースいう名のソースををしこたま、失礼、たっぷりかけたもの

なのですが、この聞き慣れない「オランデーズ・ソース Sauce Hollandaise (これはフランス語で、オランダ風ソースという意味)」というのは、どういうレシピかというと、ちなみにこれで2人分くらい?

・1/2カップのバター
・卵黄1~2個
・レモンジュース 小さじ1~2杯

ドイツ臭たっぷり、の香り高いこの動画をご覧あれ。

ドイツの台所と台所用品、って上の動画のようにぴっかぴかのステンレスとガラス製品ばかりでまるで工場のよう。この動画も別にスタジオでないかもしれない、普通の家庭のキッチンでもこんな感じ。私の好みとしては、この無機質な感じが結構好きである。
話をSpargelに戻すと、動画のおにいさんが作っている、オランデーズソース(Sauce Hollandaise)という名の、Spargelにつきもののソースは、つまり

高カロリー&高脂肪&高コレステロール

という三拍子揃った代物で、これをぶっかけた日には、折角の(?)ゼロカロリーの白アスパラガスがとんでもない高カロリーメニューになってしまうのである。
この季節に旅行でドイツを訪れる皆様、白アスパラを食される時には、是非、「マイ醤油」を持参されることを強く強くお勧め致します*1

このオランデーズ・ソースは、日本人の口に合いませぬ、百歩譲ってあなたが「何でも食べてやろう」という好奇心と食欲旺盛なグルマンディーズであっても、美味しいのは最初の一口のみ。その後は、食べることが拷問になるので・・・。特に油ものに弱い方は、やめておいた方が懸命です。
実は本邦のミラクル調味料であるところのお醤油が、この茹でた白アスパラに最高に合うのですよ!欲を言えば、おかかをかけると至上の美味なのですが。
9.11のテロ以降、飛行機の手荷物に液体は御法度ですから、是非預け入れるスーツケースに携帯用「マイ醤油」を詰めることをお忘れなく。

ドイツで1年間程カルチャーセンターのようなところでお料理を習っていたのですけど、勿論Spargelのシーズンにはこの「Sauce Hollandaise オランダ風ソース」を作りました、作っている最中に既にバターの量に圧倒されて気持ち悪くなった農耕民族の私なのですが。そのお料理教室の先生は、名前も「Heinz ハインツ」というお料理の先生にぴったり!の名字の女の先生でしたが、その先生につたない私のドイツ語で聞いたみたことがあります、
「何故、このソースは『オランダ風ソース』というのか?」
と。以下は先生の答えです。今その答えが本当に正しいのか、Googleさんに聞いてみたのですが、そもそもこのソースの名称の語源、というものが、少々の検索では出てこないので、本当にそれが正しいかどうかはわからない、ということで(疑い深い農耕民族?の私)。
「昔オランダは、世界各地にたくさん植民地を持っていて、そこからオレンジやレモンがオランダに運ばれた。だからレモンジュースを使ったソースのことを『オランダ風ソース』と呼ぶのである。」
と、Heinz先生、かく語りき。
すごく研究熱心な先生ではあったのですが、反面ダイナミックすぎるというか大雑把なところもあったので、すぐに鵜呑みには出来ないところもありますが、説得力のある説明ではあるかも?

*1: