どちらが名医?

一昨日、朝元気に出て行った娘が学校で発熱したと担任の先生から昼前に連絡があった。
その時点では37,9度だったが、私が迎えに行った時には38,9度になっていた。
この間のムスメ自身のメールの言葉ではないが、

キタ〜〜ーー!新型インフルエンザ!

である。かねがね私はムスメに「早く新型インフルエンザに罹るといいわね。」と言ってきた。
これから修学旅行、受験と大事なイベントの時にどんぴしゃり新型インフルエンザに罹るよりも、今のうちに罹っておけば、ワクチン接種よりも早くしかも確実に(これ大事)免疫がつくと思ったから。
だからこれは歓迎すべきことだった。
で、高熱ゆえフラフラで歩けないムスメを連れてそのまま病院へ行った。

2時間待ち。

まあ、仕方がない。ムスメは本当に辛そうだったけど。流石のJKこと女子高生も新型インフルエンザには形無しである。ゴムベルトで限界まで短くしたスカートとハイソックスは発熱した身にはどえらく寒いようだ。
とにかく待ちに待ってやっと受診したら・・・.
先ず、検査キットでは陰性。これは感染していても3割強の人には「ありがちなこと」というくらいは、私も新聞で学習している。
ところが、A先生の診断はこうだった。
「喉が腫れていて咳も出ているので、これはインフルエンザではなく、喉にばい菌がついて発熱した可能性があります。解熱剤と抗生物質を薬で出しますので、これを飲んで熱が下がって良くなったらやはり喉の風邪。もし明日になっても症状が改善しなかったら、それは抗生物質が効かないということですからインフルエンザだと思われるのでもう一度受診してください。それからどちらにしても抗生物質は飲みきってください。耐性がつくといけないので。」

新型インフルエンザ早期羅患推進派」
の私は少しがっかりしたけれども、A先生がおっしゃることは凄く理にかなっていたので、納得した。
ムスメは一昨日の晩はまだ高熱で苦しんでいたが、昨日の朝は平熱に下がり、夜寝るまで、熱が上がることもなく、テレビを見て、携帯でメールを打ちまくり(JKの面目躍如)、食事も普通に食べていた。

ところが。
今朝、今度はいきなり39,4度の発熱。今日は休日なので、ネットで調べて区の休日救急診療センターに連れて行く。

3時間待ち。

若い子が多い。皆とても辛そう。ここはアフリカの巡回診療所ではないはずなのに、どうしてこんなに長く待たねばならないのか?
検査キットでは今度は当然の如く、陽性
B先生の見立ては、
「もしかしたら、一昨日は喉にも多少はばい菌が付いていたのかもしれないが、この時期発熱していたら積極的に新型インフルエンザの治療をすべきですね。一昨日から治療していれば、こんな高熱は出なかったでしょう。解熱剤は魅力的ですが、危険です。一昨日処方された薬はもう飲む必要はありません。」
とのこと。
リレンザを処方された。この薬は、発熱後48時間以内に投与すれば大きな効果を期待できるが、それを過ぎると余り効果がないと言われている。
それは、この薬はあくまでもウイルスの増殖を抑えるもので、一定以上既に増殖してしまったウイルスにはお手上げ、ということだからだ。
帰宅してネットで調べてみると、今診療の現場では、
「簡易検査で陰性でも、新型インフルエンザを疑って、積極的にタミフルを投与する。」
ように奨励されているみたい。まさにB先生の意見である。

今晩もムスメはまだ38度後半の高熱で苦しんでいるが、本当に医学ってプリミティブな学問だと思う。
人体というブラックボックスに左から何か入れてみて、右から出てくるものを見て、ブラックボックスの中が何かを推定するような。
例えば左から人参を入れて、右から人参の食べカスが出て来たら、中は「うさぎちゃん」と推定する、とか。
でも人参好きの馬だったらどうするの?
医学ド素人の私だが、A先生の判断はとても論理的だと思う。
しかし結果的に今回、ムスメは一日余計に高熱で苦しんでいるわけだし、リレンザの投与も、もしかしたら48時間を猶に越えてしまっている可能性もある。
ということは、B先生に最初診て頂いていれば、速攻でリレンザを処方してもらえていたわけだから、効果はもっとあったかもしれない。
しかし。
逆にムスメが単に「喉にばい菌が付いた風邪」での発熱だったならば、リレンザを処方されても、全く効かなかったに違いないし、それは全く無駄な投与になるだろう。既にタミフル耐性のウイルスも出て来ているというし、今現在のインフルエンザの流行を押さえるためとはいえ、後のことを考えるとそんなにバンバン、タミフルリレンザを処方していいのだろうか?

どちらが名医なのか、A先生? or  B先生?