選挙に行く前に、ふと思い出したこと、忘れてはいけないことなど。

もう昔のことなので、誰に投票したかも忘れてしまったのですが、計算してみると私の年齢から言って、中選挙区制の時代に私も何度か投票したことがあるはずで、ロッキード事件リクルート事件の後の当時の政治課題で思い出せるのは金権政治打破」「政治不信打破」といったことだけで、景気も年金も原発憲法も、選挙の争点としてま〜ったく考えなくてもいいのどかな時代でした。ですから、衆議院選挙といえば、中選挙区に複数立候補している自民党候補者の中から、「人柄」で選んでいたような気がします、「政策」なんてなかったんですから、あるのは、地方への利益誘導のメニューだけ。流石に高度成長期の「橋を架けます」「道を作ります」「新幹線の駅を持ってきます」という豪華メニューは既に望めなくなっていましたが。



今の若者には想像がつかないでしょうが、石原慎太郎氏、小沢一郎氏、自見庄三郎氏、鳩山由紀夫氏、亀井静香氏、平沼赳夫氏、鈴木宗男氏、渡辺喜美氏、み〜んな1990年代には自民党の国会議員だった時期があり(嘘じゃありません!!Wikipediaで見てみてください)、そういう自民党候補者が同じ選挙区に2人も3人も立候補しているものですから、「同じ党なのに、何故言っていることが違うんだろう?」という疑問など持つこともなく、「人柄」で選ぶしかなかったのですね。まあ、そんな昔から政治家で(しかも与党自民党の国会議員で)、それから20年近く経った今でも彼らは未だに「改革!」とか「官僚政治打破!」とか叫んでいるとしたら、それは取りも直さず「この年月、何をやってきたのか?」という、彼らの政治家としての能力に疑念が生じることにもなる訳ですが。


2つ前のエントリーでも書きましたが、前回「政権交代」をした第45回衆議院選挙では、私は自分の選挙区でない自民党候補者の選挙事務所でボランティアをしておりましたが、自分の選挙区では、小選挙区では自民党候補に投票したのですが、比例代表では自民党でも民主党でもない党に投票しました。というのは、2009年夏の大方の世論とは違って私は民主党の政策を胡散臭く思っており、小選挙区民主党を勝たせたくなかったので自民党の候補者を支持したのですが、かと言って自民党の在り方を肯定していたわけではなかったので、比例は他の党に投票したのです。
しかし。この投票行動は間違っていたことがわかりました。小選挙区自民党候補者に本当に当選してほしいと思うのならば、比例でも自民党に入れるべきだったのです。私が投票した自民党候補者はあの「政権交代」の嵐の中、当然のように民主党候補者に破れ、そして重複立候補していた比例でも、自民党の獲得議席数が少ないのに加えて、「惜敗率」で及ばず落選しました。つまり、本当に自民党候補者に当選してもらって民主党大勝を防ぎたいのならば、比例も自民党に投票すべきだったのでした。今回はその轍は踏まないようにしようと思っています。
その後私は昨年に転居したので、今はその選挙区の住民ではないのですが、新聞を見ると、その自民党候補者は2009年の選挙で落選して、その後2010年の参議院で鞍替えすることなく、この3年3ヶ月の間浪人していたようです。ざっと見ても全国でも同じように、前回落選して臥薪嘗胆、解散の日を待ち続けた自民党候補者が何人もいるようです。
もし今回の選挙で、巷間予想されているように自民党が大勝するとしたら、それは5年前に涙目辞任会見をし、3.11の時には影が薄く、世襲の極みの新総裁の力ではなく、人生の働き盛りの時期の3年3ヶ月をひたすら選挙区を回って過ごした前回の落選組の、地を這うような努力の賜物の結果であることでしょう。


前回の選挙で民主党に投票しなかった私ですが、民主党政権になって良い方向に変わったこともあったと認めたいと思います。
何より、政治や政策に対する関心が増した、ということでしょうか。それから、政治が見えるようになったこと、もあると思います、例えそれが政権初心者民主党の稚拙な運営であったとしても。


そして原発事故。菅総理大臣(当時)の対応を自民党は批判していたりしましたけど、もし自民党政権だったら、2009年7月当時のまま麻生総理大臣だったら、事故対応はどうなっていたのか?ちなみに麻生氏は、東電からパーティー券購入に関して格別の厚遇を受けていたのですが*1、麻生閣下は、東京電力に乗り込んで行って下さったかどうか?色々と批判もあれど、菅総理大臣で良かった*2自民党政権よりはマシだった、のではないでしょうか。
現在稼働している原発大飯原発だけである、という状況も、民主党政権だったからこそ、こうなっているのであって、自民党政権だと、大飯原発以外にも何基も再稼働していたかもしれません。


前回の選挙で国民に「お灸を据えられる」(←私はこの情緒的な表現がキライなのですが。政治ってそんなものではないはず)結果になった自民党ですが、世襲議員に関する事だけ見ても、本当に「反省」しているのかどうか。安倍総裁をはじめ、全国を遊説して回っている石破幹事長、小泉進次郎青年局長、石原伸晃元幹事長、全員が揃いも揃って世襲です。彼らが有能な政治家であるのならば、下野している間にでも、父親とは違う選挙区に「国替え」していたとしたら、「自民党も変わった」と評価できたかもしれませんが。繰り返し言いますが、もし今回自民党が大勝したとしたら、それは世襲揃いの執行部の尽力ではなく、世襲でもなく、知名度もなく、この3年3ヶ月地を這うように自分の選挙区を回ってきた前回落選組の候補者のお陰だと思います。



2009年の夏に私が民主党を支持していなかった理由の中に、小沢氏の存在があったのですが(お正月にグループ所属の国会議員を自宅に招いて新年会、って自民党と見紛うばかりの旧態依然)、よく考えたら(考えなくても)、小沢グループって全員離党して、さっぱりしたんでしたよね。漸く鳩山氏も引退されたようですし。加えて前回は「政権交代!」と一緒に叫んでいたのに先月の解散後に離党してあちこちの新党にすり寄った元民主党の議員の方々(中には党の活動資金だけ貰って離党した議員も?)もいなくなって、これまたさっぱりしたのではないかと思います。苦しい時の友が本当の友ですよ。また、先日、こういうものを見ました。

まあ、この愚直さ!離党していった小沢氏の意向が十二分に入った2009年夏のマニフェストだったのに、その言い訳もせず、馬鹿正直に報告しているのです。国防軍だの憲法改正だのインフレターゲットだのではなしに、今回はこの愚直さを選択したい気分ですね、この10日間じゃんじゃん流された政見放送で各党が語るバラ色の政策(国防色のもありますが)に食傷した後では尚更。


・・・つらつら書いていたら、もうこんな時間!そろそろ投票に行かなくては。都知事も国民審査もあるのでした。