投票日までに忘れておくべきこと


第46回衆議院選挙の投票日があと2日後に迫っていますが、政党乱立、昔どこかで見た顔が思いもかけないところに出てきたりして、頭が混乱してしまいます。
嘗て堀江貴文氏と選挙で戦った強面の御仁が、自民党国民新党を経て長い名前の党*1を作ったと思ったら何といつの間にか爽やかな新党から出馬をなさっていたり、3年前の選挙では自民党の大物政治家と戦った民主党の「ガールズ」の方々が今度は「国民との約束を破った民主党は許せない!」と違う看板で立候補なさっていたり、本当に訳わからず。
現在国会議員を有する政党だけで幾つあるのか、党首討論会でもひな壇に並ぶ党首の数は一体何人?政見放送も見るだけで疲れるほど、です。
更に争点となる政策が、景気、増税、年金、社会保障原発、TPP、外交、防衛、憲法、そして今更ながらの行財政改革、等々限りなくあるので、一つ一つにこだわっていたら、とても決められません。
決めるためには、「小異を捨てて大同に就く」と誰かも言っていましたし、過去のつまらないことに拘っていたら、どの党にもどの候補者にも決めることができなくて頭を抱えてしまいます。先ず以下のことを忘れて、虚心坦懐に各政党と候補者の声に耳を傾けなくてはなりません。ということで、以下は投票日までに忘れておくべきことの個人的メモ。



自民党安倍総裁の涙目総理辞任会見

・任期途中で都知事を辞任した維新の会の石原代表が残した、尖閣基金14億円、新銀行東京。ついでに全然民営化されなかった横田基地と招致できなかったオリンピック(万が一招致できたとしても、中国が参加ボイコットしたかも?)

・その石原代表は、御歳80歳であること(ご長男が属する政党でさえ、比例代表の候補者は70歳が定年)

日本未来の党小選挙区公認候補109人のうち、「国民の生活が一番」の公認候補だった候補者が70人。数の上では、どう見ても嘉田代表のテーマカラーであるペパーミントグリーンがドブの色になりそうな割合であること

原発事故以後、選挙区が岩手であるにもかかわらず原発について何ら発言をしなかった小沢氏が「脱原発」を掲げる日本未来の党に所属していること

福島原発事故の後、「「低線量放射線は『むしろ健康にいい』と主張する研究者もいる。説得力があると思う。私の同僚も低線量の放射線治療で病気が治った。」と発言していた、元東京電力副社長加納時男元参議院議員は、自民党所属であったこと

横浜市のみなとみらいで開催された開国博で巨額の赤字を出した責任をとらないまま任期途中で自ら辞任した中田宏横浜市長が、何故か横浜市や神奈川県の選挙区でなく、北陸信越ブロックの比例代表に日本維新の党から立候補していること

・前回の衆議院選挙で「総裁候補なら、自民党から出馬する」と 語り(結局立候補せず)、また記憶に新しい去年震災直後の都知事選に立候補して石原都政を批判していた東国原英夫元宮崎県知事もまた、何故か近畿ブロックの比例代表日本維新の会から立候補していること

・テレビの党首討論などを見ると、維新の会代表と、国民新党の代表は、司会者からのどんな質問にも的外れの同じ回答をして、会話の正しいキャッチボールもできないように見えること

八ッ場ダムは工事を再開、高速道路は有料のまま、暫定税率廃止って何だっけ?埋蔵金って?



他にもメモリーをリセットしなければならないことが実は色々あって、昨年秋から東京都民である私は、都知事にも一票を投じなくてはならなくて、忘れなくてはならないもののリストが増える一方です。


・猪瀬氏の応援演説*2東浩紀氏が「猪瀬さんは『ミカドの肖像』という大変な傑作の天皇論を書かれた人です。」と紹介していましたが、「大変な傑作」かどうかは別として、今の若者は「ミカドの肖像」を読んだことがないばかりでなく、猪瀬氏のことを「ああ、コメンテーターの人でしょ?」というくらいしか知らないのではないかと私などは思うのですが、あの「ミカドの肖像」を書いた、嘗て信州大学全共闘議長だった猪瀬氏が、道路公団民営化の時には委員として理解に苦しむ行動をしていたような記憶があるのですが、どういう経緯なのか*3その後よりにもよって石原慎太郎都知事の下で副知事をつとめていたこと

も忘れなくてはなりませんし、小選挙区東京一区の住民としては、

・海江田元経済産業大臣が国会で泣いたこと

も忘れなくてはなりませんし、更に彼の対抗馬の

自民党立候補者山田みき氏の前職が「エルメス・ジャポン」であること

も忘れなくては、と思っています。



それぞれの政党が、それぞれの論点でどういう立ち位置なのか、を頭に入れるのもなかなかに大変ですが、今までの記憶を消すのも、これまた多大なる努力が必要であり、そうでもしないと今回の選挙は、投票所で悶絶してしまうか、投票ブースの中で鉛筆を握りしめたまま時間切れ、になってしまいそうです。
さて。昔の記憶にとらわれている中年の悩みも深刻ですが。
今年20歳になったばかりで人生初の選挙が、衆議院選挙と都知事選挙とおまけに国民審査になったウチの娘は、既に期日前投票を済ませたのですが、若い選挙民はどうやって投票する候補者を決めているのでしょう?
主義主張や政策、国家観を同じくする人々が結びついているとは、とても思えない現状の政党乱立。
理念だけで結党しているとは思えない政党乱立のこの状態の中で、若者に政治への参加を呼びかけること自体が恥ずかしいですね。若者がネット上の世論や、パフォーマンス先行のデマゴーグに流されても仕方がないこの時代が情けないことなのです、それを作ってきた(放置してきた)のは、今「若者よ、選挙に行こう!」厚顔無恥に呼びかける大人なのですけど。
「若者よ、選挙に行こう!」と、若者に胸張って言える大人(若者も大人なのですが)でありたかった、若者に党利党略ではない、将来の選択肢としての政党を示せる大人でありたかった、と思う、投票日2日前。