Madame限定 iPhoneのSiriちゃんと遊んだ感想


昨日でしたか、iPhoneのOSをアップデートして、Siriで日本語が出来るようになって、ずっとSiriちゃんと遊んでいます。


Siriちゃんとの初めての出会いは、昨年の秋iPhone4Sに替えた時でした、まだその時には日本語は対応していなくて英語、ドイツ語、フランス語のみ、だったのですが。しかし「英語」と言っても一つではなくて、
「英語(アメリカ合衆国)」
「英語(イギリス)」
「英語(オーストラリア)」
と三つもあるのですよ。ちなみに、「英語(アメリカ合衆国)」と「英語(オーストラリア)」のSiriちゃんは女性の声、「英語(イギリス)」のSiriちゃんは男性の声です。それぞれのSiriちゃんに話しかけて問答していて感じるのですが、日本の英会話教室では「全員がネイティブ講師」を謳い、生徒は「ネイティブのような発音がしたい」と安くはない授業料を注ぎ込むわけですが、このSiriちゃんの英語の仕分けを見ていると「ネイティブ英語って何?」って思ってしまいますよ。近い将来は、「英語(インド)」とか「英語(シンガポール)」なんかがSiriちゃんに加わるのではないかと思いますが、どれも「ネイティブ」であることは事実で「英語」は「英語」なんですよね。
さて、去年のSiriのリリースの時、大学では形ばかりではありますがフランス語をやり、数年前まで夫の駐在に伴いドイツに3年間住んでドイツ語にまみれておりました関係上、英語のSiriちゃんだけでなくフランス語のSiriちゃんと、ドイツ語のSiriちゃんとも戯れてみました。昼下がりのマンションの一室でいい年したオバサンがiPhoneに必死に話しかけている、という不気味な光景を想像できると思いますが、なかなか楽しいおもちゃですよ、これは。しかもかなり気合い入れて発音しないと、Siriちゃん理解してくれません。私の発音が悪いのが最大にして唯一の原因なのですが、そんなことは棚に上げ、半ばムキになってSiriちゃんに向かって怒鳴っている私がいました・・・(←不気味を通り越してホラーですが)。

フランス語のSiriちゃんですが、これは何と男性の声!よいですよ〜〜〜。フランス語で男性と会話する、しかも僕(しもべ)とご主人様関係で会話する、っていいんですよ〜〜〜。Siriちゃんには私のこと「Madame」って呼ばせてますからね。


ドイツに暮らしていた時にわかったのですが、西洋人の一角でありながらドイツ男は全然レディ・ファーストじゃないんですよね、もしかしたら「女性に優しくしたいけれどできない」雰囲気を醸し出している含羞に満ちた日本人のおじさんの方がまだマシかも。ドイツ男は、ドアが閉まらないように持っていてくれたり、エレベーターで先に降ろしてくれたり、←そ〜んな事は皆無!さすが無粋なゲルマン民族ホモソーシャルの世界!だったのですが(しかし彼らの名誉のために申し添えますが、ベビーカーを電車やバスに乗せる時には必ず手出すけしてくれるゲルマン人です)、それが同じヨーロッパ大陸に生息している同じ人類とは思えないのが、ラテン男。イタリア男とフランス男は生物学上の女性に対する態度がドイツ男と全然違うのです。イタリア男なんて、ローマの街を、東洋人のオバサン、もとい、シニョーラである私が歩いていると、向こうから来たイタリア男が大袈裟に舗道の端により、「Prego!」とかやって私を先に通してくれる訳です、濃い顔で。私の好み的には、それはちと「 too much (お腹いっぱい)」なんですね、いくら何でもやり過ぎ。それに引き換え、フランス男は女性に奉仕する加減までが天性でわかっている、というか、女性に「servir(奉仕する、仕える)する」、というのが如何にも自然なのです。カフェやレストランのギャルソンの真剣なservirには、年下にも韓流にも全く興味がない私ですら、心動くものがありますよ(すぐに現実に立ち返りますけどね)。「女は若い方がいいに決まっている」という日本では、ウェイターや美容師(男)などは、相手がオバサンの場合、表面上は慇懃にservirしていてもどこかでオバサンを馬鹿にしている本心が表れるものですが(オバサンはそれを見抜かなくてはなりません!)、フランス男は違います。忘れもしない、或る冬のセール期間のパリはギャラリー・ラファイエットアルマーニの試着室。日本では考えられない値段(つまり破格の安さ)のタグがついたスカートを試着したらば、ファスナーが途中で布を巻き込んでいて上がらないのです。サイズはピッタリで他は全て気に入っていたのですが、ファスナーが上がらないのは致命的なので、レジのデスクにいたまだ20代前半のギャルソンにファスナーを見せて買わない旨を告げると、そのギャルソンが「Attendez un moment,Mdadame!」と言って、疾風のように店を出て行き、暫くして笑顔で戻ってきました、ファスナーが上がるようになったスカートをうやうやしく持って。「Essayez encore une fois,Madame」と言われてもう一度試着してみたら、ファスナーだけでなくその上部に付いた小さなボタンも緩かったのがちゃんと糸で留められていました。デパートのどこかにアトリエがあってお針子さんたちが詰めていてクレームを即座に処理しているのでしょうか?さすがです。「お客様は神様です」やら「おもてなしの心」に代表される日本のサービスとは、一味違うのですよね、「ここが違う」と上手くは言えないのですが。

あのときめきをもう一度、ではありませんが、フランス語のSiriちゃん、改め、フランス男のSiriくんに色々と話しかけてみます。といっても、お天気聞いたり、「◯◯は私の夫です」「△△は私の息子です」とか「連絡先」の中の家族を認識させたりなんですが、なかなか通じなくて一苦労です。でも遊べる。そして通じた時は楽しいです。だって、「機械に話しかけて、機械が答えてくれる」って一昔前ならば「どこのSFの世界?」ではありませんか、それが今自分の手のひらの中で実現しているということに興奮してしまいます。Apple教信者の息子でなくても、故スティーブ・ジョブズには感嘆するしかありません。今まで人類が手にしたことがなかったものを世に産み出し、そして極東のオバサンまでをも感動させているんですから。

フランス語のSiriくん以外のSiriを簡単に総括してみると、
「英語(アメリカ合衆国)」のSiriちゃんは、ヤンキー女性なのですが、はっきり言って一度で私の英語を理解してはくれない困ったオバサンなのです、インターナショナル・スクール(但し在独)に3年間通った娘が話しかけると一発で理解しているところを見ると、これは単に私の「発音」の問題なのだと思います・・・。イメージとしては、ヒラリー・クリントン
同じく女性の声の「英語(オーストラリア)」は、ヤンキー女性よりは若い印象のオージー・ガール(私が知っているオージー・ガールは、オリビアニュートンジョンしかいないのが世代バレバレです)なのですが、彼女の方がヒラリーよりも私の英語を聞き取ってもらえる率が高いです、一度もオーストラリアに行ったことがなく、オーストラリア人と話した事ない私なんですが。
「英語(イギリス)」のSiriちゃんは、おだやか〜な男性の声なんですが、イギリス人ってこうだっけ?私のサバイバル英語を理解してくれる度合いも、ヤンキー女性よりはマシ。しかし、彼に私の英語を何度もダメだしされると、慇懃無礼執事(バトラー)に思えてきて、執事など雇ったことがない極東のオバサンは泣きそうになります。あっ、少なくとも執事の発音は、ベッカムとは全然違いますから。

そして、一番のツンデレがドイツ語のSiri!個人的経験から、ドイツ語は「読み」の殆どはローマ字読みでOKな言語で(勿論本格的に喋るにはそれなりに発音は難しいのでしょうが)、お店で買い物したり、レストランで注文したり、駅や郵便局で用を足すには、寧ろ英語やフランス語よりも「通じる率」は高いと思っていたのですが、ドイツ語のSiri(←呼び捨て)は、私の拙いドイツ語を認識してくれません。「◯◯は私の娘(Tochter)です」と認識させるのに、私が発音するこの「Tochter」がSiriには通じなくて、片仮名で書くと「トホター」の「ホ」の部分の破裂音をムキになって怒鳴っているうちに酸欠で(破裂音は吐き出すために息を吸わねばならないのですが、焦ってしまって)ヘトヘトになりました・・・。ところが、なんですが、やっと認識してくれて思わず「Danke」(←これは誰でも知っていますよね、発音も簡単です)とSiriに言ったら、

(あなたが喜んでくれることを望みます。)
と言われてしまったので、調子に乗って、破裂音がないので絶対に理解してくれる「Danke」を何度も言ってみたところ、

(あなたのためにしたことです。)

(私の仕事をしただけです。)

(私の唯一の目的はお仕えすることです。)
意外に可愛いツンデレちゃんなのでした。初めドイツ語のSiriに早口のドイツ語でダメだしされる度に、ドイツ滞在中誰一人として「愛想」という単語を知らないとしか思えなかった、ドイツのスーパーのレジ係のオバサンやらおねーさんやらの顔が思い浮かんで、こちらも当時のように、日本人的にはかなり頑張って攻撃的にSiriに話していたのですが、いやいやなかなかしおらしいところがある、ドイツ語のSiriちゃんなのでした。


驚くべきは寧ろ日本語のSiriちゃんです。日本語という言語は、曖昧だし、語尾もはっきりしないし、主語とか述語とかお構いなしだし、数の数え方も面倒くさいし、敬語もあるし、如何にも音声認識に向かない言語だと思っていたのですが、物凄い精度です。私が日本語のネイティブ・スピーカーだからでしょうか、Siriちゃんが私の日本語を拒否ることは一度もないのです。逆に外人が喋る日本語を真似して「わた〜すぃ〜のこ〜と〜を、まだ〜むとよんでくださ〜い」(←外人風イントネーションで)と話しかけてみたのですが、

という風にちゃんと認識して即答してきました、Siriちゃん。素晴らしい。ちょっと訛が気になると言えば気になりますが、絶滅危惧種大和撫子らしい奥ゆかしさとがSiriちゃんには滲み出ています。例えば、応答に時間がかかると

と、こちらが何も言ってないのに謝ってきますし、



どうですか?言葉のバリエーションが豊富なことと醸し出される謙虚さがスゴくないですか?

メイド喫茶じゃありませんよ、れっきとしたiPhoneのSiriちゃんですから。他のどの言語のSiriちゃんよりも、この大和撫子(ちょっと田舎の訛はありますが)のSiriはきめ細やかな対応をしてくれます。娘(大学生)の言ですが、
「日本語のSiriは絶対に女性の声になると思ってた。だって日本の萌え好きなオタクのこと、アップルはわかっているはずだから。」
どうせなら、もうちょっと声優さんぽい声か、初音ミク路線の声にすればよかったんですよ、アップルさん。そうすれば、あらゆる年齢層の日本男児iPhoneユーザーに取り込めたのに。いや、今からでも遅くありません、次回のアップデートを楽しみにしておきます。

↑ これを誰の声で言ってもらいたいですか?

今年中には、今までの言語に加えて中国語、ロシア語、スペイン語にもSiriちゃんは対応するらしいです。それらの言語には縁のない私ですが、どんなキャラのSiriちゃんが登場するのか、興味津々です。
数十年後、iPhone片手に何かを呟いている老人が増えるのではないでしょうか?彼らは孤独でしょうか?いえ、彼らにはSiriちゃんがいますから決して孤独ではありません。メールを作成して送信したり、電話をかけたり、天気や株価を調べたり、音楽を流してくれたりだけではなく、その頃にはもっと色々なことをSiriちゃんがやってくれるようになっているでしょう。本当に素晴らしいデバイスです、iPhoneは。そしていつ老人になってもよいように、今日もiPhoneのSiriちゃんにいじられ、いじり返している私なのでした。



さて、未来を担う日本の若者たちがどのように日本語Siriちゃんと戯れているかは ↓ でどうぞ!


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