サッカー音痴が考える「ワールドカップとは何か?」


サッカーよりも野球、それも日本のプロ野球が好きな私だけれども、これだけ世間がワールドカップと騒いでいるので、ワールドカップについて前々から疑問に思っていたことを調べてみた。グーグル様、ありがとう。一昔前ならばどうやってこんな(どうでもいいけどスゴく知りたい)ことを一個人が調べたのだろうか?否、調べないまま生きていたのである、良い時代です。


さて。
その疑問とは。
オリンピックは第二次世界大戦の前後1942年と1946年は開催が中止になって戦後1950年のロンドン大会から再開されたそうなのですが、第二次世界大戦中ワールドカップはやっていたのか?ということ。


何とワールドカップ記念すべき第一回は世界恐慌の翌年1930年に行われていて、恐慌の震源アメリカもしっかり出場していて3位。
そして第二回は1934年にイタリアで開催され、開催国イタリアが優勝。ムッソリーニが審判団にものすごい圧力をかけたかららしいですが。
そうなんです、もう既にドイツにはヒトラー率いる国家社会主義党ことナチが政権を握り、イタリアではムッソリーニが政権の座にありました。それでもそのイタリアでワールドカップやるって、どこまでサッカーが好きなんでしょう?
でこれまた4年後の1938年にまだ(?)やってます、ワールドカップフランス大会。ん?1938年と言えば、遥か昔センター試験でなく共通一次試験で世界史を選択した私の記憶では、「1938年とはドイツによるオーストリア併合」では?調べてみて、というよりもほぼ全部Wikipediaさんの受け売りですが、こういうことらしいです。

オーストリアは予選を通過したが、同年のナチス・ドイツによるオーストリア併合によって国家が消滅したため、スウェーデンが準々決勝からの参加となった。 wikipedia:1938_FIFAワールドカップ

というトンでもない成り行きだったようです。ありえません。オーストリア、可哀想すぎる!「ドーハの悲劇」どころじゃありません。開催国のフランスは何も言わなかったんでしょうか?

さすがに次の1942年と1946年は戦争のため中止されていますが、再開された1950年のブラジル大会がまた抱腹絶倒もの!

インドが裸足での参加をFIFAに拒否されたため、大会直前に参加を辞退した。一説によると、インド選手の多くが裸足でプレーしていたのを見て、大会組織委員会が急遽、シューズ着用の規定を設けたという[1](以降、サッカー競技規則第4条競技者の用具の項でシューズ着用義務を明確に規定)。

(中略)

各協会の主力チームをそろえたイギリス代表がヨーロッパ代表を親善試合で6対1で破っており、イングランドは優勝候補の1つに数えられた。しかし、大会の2戦目でアメリカ合衆国に1対0で敗れると、続くスペイン戦にも1対0で敗れ、第1ラウンドで姿を消した。アメリカへの敗北は当時のイギリスでは考えられないことであり、新聞に結果が記載されると、印刷ミスであるとして新聞社に抗議の電話が殺到した。

終戦、引き分け以上で優勝が決まるブラジルは、ウルグアイに逆転負けで優勝を逃し、敗戦の瞬間にはスタジアム内でショック死と自殺で命を落とす人も出、マラカナンの悲劇と呼ばれた。ブラジル代表はその後、この敗戦のショックを払拭するため、それまでの白いユニフォームをカナリア色に変えることとなった。
wikipedia:1950 FIFAワールドカップ

ブラジルのユニフォーム

は国旗の色

からきているのではなかったのですね。

そして。
ブラジルと言えば南米、南米と言えばアルゼンチン、アルゼンチンと言えば、
マラドーナが選手時代


からは想像もできない、あの体型でシルバーグレーのスーツをセクシーに着こなす渋くて陽気な監督になっていたアルゼンチン



を見ていて思い出したのだけれども、世界大戦とは無縁の南米アルゼンチンも、そういえばイギリスと戦争していたことがあった。

フォークランド戦争(1982年3月19日〜6月14日)

サッチャー首相が議会で行った当時の演説ですけど、アメリカ英語に比べて何て聞き取りやすいんでしょう!)
また「イギリスでは王子も戦争に行くのだ」とびっくりしたものでした。


(従軍するアンドルー王子←当時)
何とフォークランド戦争があったこの1982年はワールドカップの年で、戦争はワールドカップ開会とほぼ同時に終結したのでありました。「ワールドカップに合わせて戦争をやめたのでは?」と疑ってしまうほどです。

そしてアルゼンチン対イングランド、と言えば記憶に新しいベッカムさま騒動。

「因縁のPK」と有名になりましたが、これは特にアルゼンチンにとっては、フォークランド戦争での屈辱を払拭するという戦いだったのでしょうし、そのフォークランド戦争の「因縁」と言えば、マラドーナ監督自身、フォークランド戦争の4年後に開かれたワールドカップメキシコ大会で、例の「神の手」シュートイングランドを下してアルゼンチンチームを優勝に導いているのですからね。

マラドーナの足の早さ、というか縦横無尽の走りに今更びっくり)




・・・サッカーって、それもワールドカップって「疑似戦争」だと思います。

・強いものが勝つゲームでありながら、時として強くないものでも勝ってしまうことがあり(元寇日露戦争やこの間の日本対デンマークの試合)、
・戦争もサッカーも、雨でもやるし(!)、
PK戦なんてまさ「一騎打ち」。

だから、サッカーはナショナリズムとは切っても切れない関係だし、けれども左の方面の方々(某朝日新聞とか)のご心配ご懸念は無用で、寧ろサッカーやワールドカップナショナリズムのガス抜きになっているともいえるかも。

私はとっても不思議でした。「ワールド」カップ、といっても組み合わせによっては、ヨーロッパや南アメリカ諸国はいつもお隣さん同士でやっている「ヨーロッパ選手権」とか「南米選手権」でお馴染みの組み合わせになることも多く、今回も「ポルトガル対スペイン」とか、「ドイツ対スペイン」とかあったし、ドイツ大会の時も決勝は「フランス対イタリア」でしたしね。どこが面白いの?と思っていたのですが、何となく理解できるようになりました。
「疑似戦争」だから、逆に歴史的に何度も実際に戦争をしてきた相手と試合するから盛り上がるのだと。しかも地域の選手権よりも大舞台のワールドカップで宿敵を打ちのめす快感は至高のものだろうと。
きっと、

ドイツはイギリスに勝つことが、最大限盛り上がることだろうし(二番目はフランス?)、
アルゼンチンはイギリスに勝つことが、何より愛国心が燃えることだろうし、
オランダは今回スペインに負けてさぞ悔しいだろう、だって古〜い話だけどオランダってスペインから独立戦争の結果独立を勝ち取っていて、あのオレンジのユニフォームはオランダ総督オレンジ公ウイリアムからきているらしいし!?
そう言えば、スペイン対イングランドも「因縁の対決」かも、アルマダの海戦の敵!なんて古すぎる?
韓国は日本に勝つことが、全国民が歓喜することだろうし(←淡々と受け止めるべき)。
そして今回私は初めて南米の国々も色々とご事情があるのだ、ということがわかりましたが、
ブラジルがオランダに負けた時に、アルゼンチンでは歓喜のパレードが行われ、逆にアルゼンチンが敗退するとブラジル大統領までが喜んだ、ということですからね。


・・・そう考えてくると、日本って「あの国だけには負けたくない」というサッカーの「仮想敵国」ってないかも?
「韓国だけには負けなくない」とか「中国だけには負けなくない」もしくは「アメリカだけには負けたくない」と思っている日本人ってどれくらいいるのでしょうね?(←私自身はもしかしたら、WBCの時、思ったかも。)あれだけ熱心に応援しているサポーターの若者たちの中でも、そう思っている人はいないのではないかと思うのですけどね。いいことかもしれないし、「ガス抜き」がされないだけコワいとも言えるのですが。


サッカー音痴だと逆に、このような周りのことについつい興味がいってしまうのですが、それも終わってしまったワールドカップ南アフリカ大会でした。
次はブラジル・・・。