*iPhone その後 ⑥

現役JK(女子高生)の娘が、「今日、中目黒で東横線から日比谷線に乗り換えたら、向かいの座席に座っていた女の人7人が7人ともiPhoneだった!」、と言う。
私も以前から、東横線iPhone率高い!とは思っていたけれども、iPhoneを持って操っているのは圧倒的に20代男性、という感じだったので、それはとても喜ばしいことだ。

私もやっと「フリック打法」なるものを覚えた。iPhoneに乗り換えたことが、「コペルニクスの地動説」だとしたら、「フリック打法」は「コロンブスアメリカ大陸発見」である(←ヘタな比喩)。今まで日本の携帯で打っていた打ち方は、

「猿打ち=monky typing」

というらしい、私って猿だった?これをネーミングした人のセンス最高!ついでに、docomo やらauやらの携帯のことを

ガラケー

ということもこの間知った。つまり私は今までずっとガラケーを猿打ちしていた」わけね。字面だけで、すごい野蛮人な感じがする。ヘタな比喩の延長で言えば、「暗黒の中世ヨーロッパ世界をさまよっていた」ということだろうか。
私はアップルの回し者でも何でもないが、iPhoneに乗り換えた当初は、便利でどこまでも楽しいことに感動し、その感動を他人とも分け合いたくて、盛んに宣伝していたのだが、最近ちょっと考えるようになった。

いくら宣伝してもiPhone無理な人もいる

ということに気がついたので、最近は「勝手連的営業活動」を自粛している。iPhone布教の障壁になっているのは何かというと、専ら私の布教対象である「オーバー・フォーティー」の主婦の方々はパソコンと親和性が低い、というのが原因。それは何故かというと、「メール」は全て「ガラケー」こと携帯で済ませているから。ていうか、「ガラケー」でそこそこのことが出来てしまうからパソコン使う必要がないのだ。

「ごめん、パソコン月に1回くらいしか開けないから、パソコンに貰ったメールに気がつかなかった!」

ドイツにいる時、日本の友人のパソコンにメールを送って、何度こういう返信をもらったことか!それでドイツからメールする時には、日本の友人のPCではなく携帯(ガラケー)にメールをするようになったのだが、当時(2005年頃)でも5000文字のメール受信が可能だった。どういうことになるかというと、こちらから打ったメールに「今横須賀線の中です。メール読みました。」とかいう返事が返ってくるのだ。一つには、ドイツからメールして瞬時に日本の横須賀線の電車内の友人に繋がること、に感動。二つ目はドイツの携帯のメールはSMSしかできなくて、文字数の最高が160(だった気がする)だったから(twitterの文字数はここから来ているらしい)、単純に日本の携帯の高スペックに感動。だったのだ。日本の主婦は、携帯でメールは勿論、検索もネットショッピングもやるしブログも書いてしまう。あっ、携帯のカメラもそこそこのレベルだし。「ガラケー」で何でもできてしまう、やってしまうのだ。

ところが、iPhoneを使いこなすには、パソコンでiTunesのアカウントを取得することが必要。SMAPのCMだけ見て、iPhoneに乗り換えようと思っても、おっとどっこい、これが出来ない人もいる。
iPhoneご利用開始にあたって

iPhoneの主要な機能をご利用いただくには、必ずiTunes7.7以降をインストールしたパソコンと接続しご登録ください。
iTunesをご利用になれない場合、ご利用いただけるiPhoneの機能は通話、SMS等の一部に限られます。

知り合いに、すごく意欲的積極的に生きてらっしゃる女性(50代後半)がいるのだが、彼女は携帯(docomo)を最新機種に機種変したばかりだったのに、iPhoneのキャンペーンに乗って昨年末iPhoneに乗り換えた。ところが。彼女はパソコンを殆ど使わない人なので、iPhone「電話とSMSのメールだけ」という使われ方なのである。パソコンメールをiPhoneで外出先でも見られる、とか、パソコン上のカレンダーとの同期、とか出来ないのだ、もったいな〜い。えっ、もしかしてパソコンなければアプリも買えない、かも。はず?

iPhoneにはiPodも入っているので私にとってはとてもとても便利!何故なら、電車の中で、iPodガラケー両方持たなくていいからなのだが、iPodiTunesに親しんでいればiPhoneも全然問題ないけれど、そもそもiPodを使ったことがなければ、やはり少々ハードルは高い。

1月の終わり頃だったと思うのだが、朝日新聞に以下のような趣旨の40代女性の投書が載っていた。確か、「時代遅れを誇りに思う」とかいうタイトルで、

「私は最新式機械を何も持っていない。パソコンも携帯も自家用車も持っていない。友人とはメールではなく声が聞ける電話で話すし(「電話は『機械』じゃないんかい!?」「固定電話はよくて携帯電話が悪いんかい!?」というつい関西的な突っ込みを即座に入れた私)調べたいものがある時には自転車で図書館に行く。これからもこういう自分に誇りを持って生きて行くつもりだ。」

とか何とか。投書の主はまだ40代。平均寿命80歳として、これからまだ40年そうやって生きて行くつもりなのだろうか?iPhoneはこういう方にとっては、全く別世界のもの、異次元のものなんだろう。でももし彼女が途中で宗旨替えしたとしても、どこから21世紀に追いついていくのだろう?先ずパソコンを「開ける」ところから?

私も流石に、「パソコンを開ける」ところから始める方々に向けて、iPhoneを布教するだけの信心と力量はないので、これからはiPod経験者に的を絞って営業!かな、と考えているということは、やはりApple教に私も洗脳されているのだろうか。