ダボス会議

鳩山首相ダボス会議出席見送り=国会日程など考慮
2010年1月19日(火)22:03
 鳩山由紀夫首相は19日、今月下旬にスイスのダボスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)出席を見送る意向を固めた。政府関係者が明らかにした。

 首相は当初、29〜31日の日程で出席を調整していた。しかし、政府・与党が月内成立を目指す2009年度第2次補正予算案の採決日程と重なることが想定されるほか、補正成立直後に行う施政方針演説の準備も考慮した。 

時事通信社

ダボス会議

というのは、日本ではあまり知られていなくて、私もドイツに行くまで「名前は聞いたことがある」程度だったのだが、毎年この時期にスイスの保養地ダボスで開かれる国際会議、のことである。
向こうでは結構な注目度で、ドイツのテレビのニュースでも連日取り上げられ、BBC Worldでは特集を組んで会議の期間実況中継をしているほど。

この会議に日本の首相が出席して、討論にも加わり(勿論英語でお願いします)、存在感を示すことは、とても重要なことだと思うのだが、スタンフォード大学の大学院卒業、Ph.Dまで取得している鳩山首相は、今回欠席、ということ。
私は決して民主党支持者ではないのだが、国連で「鳩山イニシアチブ」とやらをブチ上げたほどの首相ならば、本人も是非とも出席したいだろうに、国内にさぞ喫緊の重要な課題が山積していたのだろう・・・と思いきや。

【午前】11時54分、JR新宿駅

 【午後】0時、スーパーあずさ15号で同駅発。1時29分、JR甲府駅着。41分、甲府市山梨大学燃料電池ナノ材料研究センター着。視察。2時25分、セミナー室で学生らと意見交換。小沢環境相、後藤文部科学政務官横内正明山梨県知事同席。3時6分、同市の山梨県地場産業センター「かいてらす」。10分、会議室で横内知事、宮島雅展甲府市長らと意見交換。小沢、後藤両氏同席。56分、お土産コーナーで県産ワインを購入。4時14分、上原勇七甲府商工会議所会頭ら県内の各種団体幹部と意見交換。50分、報道各社のインタビュー。5時9分、甲府市岡島百貨店。同百貨店内の「岡島ローヤル会館」での民主党の輿石参院議員会長の国政報告会であいさつ。6時8分、山梨県笛吹市の旅館「かげつ」。輿石、小沢、後藤各氏らと会食。58分、笛吹市のJR石和温泉駅。7時1分、かいじ122号で同駅発。8時35分、JR新宿駅着。56分、公邸。

http://www.asahi.com/politics/update/0130/TKY201001300300.html

(※赤太字は筆者)

ダボスに行かずにあの輿石参議院議員のためにわざわざ甲府まで行って、「あいさつ」していた、ということらしい。この国政報告会で、
「こんなに優しい人(鳩山首相のこと)が苛められて悔しい」
と輿石氏は言ったのだった。そりゃ、ダボス会議よりも甲府に来てくれたのだから「優しい」でしょう。
「こども手当から、未納の給食費を天引きするシステムを考えたい」と鳩山氏が言ったのも、この甲府で言ってしまったらしい(ありえないけど)。
確か去年は麻生元首相はダボス日帰り、じゃなかったっけ?一昨年は福田元首相がやはり演説をした記憶がある(残念ながら日本語だったけれど)。
日本国の首相ならば、ダボス会議に出席するのと、党内実力者の地元へ行くのとどちらが大事か、比べるまでもないと思うのだけれど。
よしんば、公務多忙を極めどうしても日程的にも体力的にも無理でダボスへの出席を見送る(安倍元首相の様に「折れない」ために)、というのならば、まだ理解できる、けれどもスーパーあずさに乗って往復3時間かけて甲府へ行くほどの、日程的体力的余裕はあるのだったら、
何故ダボスへ行かない!

それにしても、
「鳩山イニシアチブ」
だとか
「鳩山ボート」
とか、我が国の現在の首相は、本当に自己顕示欲が強いらしい。自らの莫大な財産をそれにつぎ込んでやる、というのならともかく、税金でまかなわれる国家の事業に自らの名を冠する、というのは、図々しい、というのか、臆面も無い、というのか。同じく世襲政治家である、麻生、福田、安倍歴代の各首相でもここまでではなかったと思うし(「漫画博物館」なんて可愛いものだった)、少なくとも党内事情よりは日本という国の国際社会でのプレゼンスも重要視していたと思われるのに。

加えて、自分のことを一人称で「鳩山が」というのはやめてほしい。
これは嘗ての小泉元首相もそうだったのだが、彼の時も「コイズミが」というどこかのアイドルの二番煎じのようなこの一人称にナルシスティックな自己顕示欲を感じて辟易したものだが、更にそれの三番煎じはもっと悪い。
更に加えて、ナルシスティックであるのに、尊敬語と謙譲語を全く理解していない滅茶苦茶な敬語の濫用。仮にも一国の総理大臣なのだから、これを何とかしてほしい。平田オリザさん、是非総理に「教えて差し上げてください」。日本語がこうだと、スタンフォード仕込みの英語も不安になってくる。

2006年だったか2007年だったかのダボス会議の時、在ドイツだった私は、日中でも零下の戸外に出るのが億劫でテレビで何ともなしに、BBCWorldで中継しているダボス会議を見ていたのだが(あくまで、言葉通り「見ていた」であって英語を全て「理解していた」わけでは勿論ない)、その年、何といってもダントツで目立っていたのは、中国の高官という美人の女性。毎日デザインは違うが真っ赤なスーツに身を包み、流暢な英語で討論にも積極的に参加していた。「物事は『見た目』ではない」というのは真理かもしれないが、長時間放送されたこの中国高官の映像は、「千万の言葉を尽くすよりも饒舌」に中国のプレゼンスを示した。思えば、その赤いスーツの「赤」は、スカーレット・レッドではなく、中華人民共和国の国旗の色、の赤だったけど、その効果も計算の上だったのか。

それにしても、来年のダボス会議の時期、鳩山首相はまだ総理の座にいるのだろうか。