全ての在留邦人に捧ぐ 鳩山氏→菅氏への日本国総理大臣交代劇に関して

今回この「鳩山総理辞任」という時期に海外に住んでいる日本人は頭を抱えて困っていると思う。心より謹んでご同情申し上げます。
これはどういうことかと言うと、日本人は空気を読む術に世界最高レベルで長けた国民であり、慎み深く礼儀もわきまえているので、例えばタクシーの運転手が、乗ってきたガイジンに向かって(しかも日本語で)、

「あなたの国の総理大臣はどうして急に辞めたんだ?」

とか聞かないし、スーパーの精肉売り場のおばちゃんが客であるガイジンに(同じく日本語で)

「あなたの国の総理大臣、代わったんだってね?それはどうしてなのか?」

と尋ねはしないのだけど、海外ではこうはいかない。
上のシチュエーションをドイツに持ってくると、このような場面は大アリで、上記は私の実体験である。何しろいきなりの質問攻撃なので、ただでさえドイツ語が出てこずしどろもどろなのだが、そうでなくても、

「私だって、どうして日本の総理大臣がコロコロ代わるのか知らないわよ!こっちが聞きたいくらいなんだから!」

という日本人として甚だ悲しい心境なのであり、だからと言ってドイツの中心でそれを叫ぶことは、大和撫子の私には到底出来なかったのであるが。今までも、

安倍→福田、福田→麻生、という総理大臣の不規則チェンジ(日本において『チェンジ』はこれくらいしかないでしょう)

に関して外国人に対しては説明し難いというか、説明していると情けなくて涙が出てくる程、政治後進国状態の日本人の苦渋を第一線でお感じになってきた在留邦人の皆様だと思いますが、今回はヒドすぎますよね。

就任早々、国連気候変動首脳会議で何の策もなくいきなり(もしかして『腹案』があったのか!?)
「温室がス25%削減」を宣言してしまった元総理ですが、

これは外交的には辞任後も有効なのかどうなのか、日本人としてどう答えたらいいんでしょうか?
そしていやしくも一国の総理を選ぶ選挙が、昨日事実上の立候補表明→今日午前中立候補受付→その後すぐに両議員総会で投票→午後衆参両院本会議で首相指名(今ここ)→今夜中に組閣、って、いくら国会会期中とはいえ(そんな時期に辞任する元総理がそもそも情けないのですけど)、斜陽ながらも経済大国といわれる民主主義国家にしてはあまりにもちゃちい簡単すぎやしませんか?
一党独裁共産主義国家の隣の大国の方が、余程政治と政治家に重みがあるように見えてしまいますよね。

何よりそのような状況を、政治先進国である諸外国の皆様に何とご説明申し上げればよいのでしょうか?世界各地で否が応にも「日本人代表」として答弁しなければならない在留邦人の皆様に、外務省は「日本の総理大臣がコロコロ代わることに関する模範的答弁集」を、是非配って頂きたい!

ドイツ滞在中に2年間ずっとプライベートでドイツ語を習っていた先生は、ドイツ人に超ありがちな「政治ネタ」好きであり、ドイツ人としては珍しいことにアジアに興味を持ってくれている人だったから、当時レッスンの度に色々と日本の政治や社会について聞かれた。←こういう経験は、海外にいると多々あることだと思う。そしてきっと皆同じだと思うのだけれども、知っているつもりでもいざ「天皇制」とか、「素晴らしい日本文化」について説明出来ない自分に気づいて愕然とし、俄然「日本ナショナリストに突然変身してしまうのがよくあるパターン(含む、自分)なのだけれども。その先生(30代女性)が言っていた、

「私が名前を知っている日本の政治家は、コイズミしかいない。」

良くも悪くもこうなんですね、実態は。それにしても、今回この
ルーピー鳩山元総理が辞任した時期に海外に住んでいなくて本当に良かった!
そのドイツ語の先生からの想像される質問攻勢やタクシーの運転手の果てしなき質問とか肉を買いに行ったのに何故か日本の政治体制について下手なドイツ語で語る羽目になっていたかと思うと、しみじみそう思ったのでありました。逆に夫は、たまたま昨日成田空港着で海外出張から帰ってきたのだが、時差の関係もあり「鳩山総理辞任」のニュースが現地で配信される前に飛行機に乗り込んだのだそうだ。そして私が思ったのと同じことを言っていた、

「仕事の交渉の前に、『何で日本の首相は辞めたのか?』と聞かれると実に面倒くさいから、辞任の前に仕事が終わって本当に良かった。」

と。今、こうしている間も世界のどこかで日本人ビジネスマンが、日本の政治のマズさ故にしなくてもいい苦労をしていることだろう。重ねて謹んで衷心よりご同情申し上げます。本当にいい加減にしてほしいですよね、日本の政治!
そして何より暗い気持ちになるのは、今しがた第94代日本国総理大臣に指名された、菅直人

(財務大臣として『乗数効果』を知らなかったのですよね・・・)
が私のドイツ語の先生にとって、
「コイズミ」に次いで二人目の「名前を知っている日本の政治家」
にはなりそうにないことだ。在留邦人の皆様、ご苦労お察し申し上げます、また遠くない将来今回のような状態が起こりうることをどうぞお覚悟のほどを。