菅内閣に対する、幾つかの慎ましい疑問


・鳩山元総理大臣の、国民に向けての退陣会見はないのだろうか?歴史的政権交代をして首相になったのだから、与党の議員に対してのみならず、辞任に際して「思い」を会見で国民に直接語ってもいいのではないだろうか?
もしかして、今鳩山元総理が会見することは、支持率が「V字回復」した今となっては、「選挙にマイナス」でしかないからやらないのかと、勘ぐってしまう。鳩山元総理を支持していたわけでは決してないが、今この民主党の有り体を見ていると、自民党以上に「総理使い捨て」という感じがしてくる。菅総理は、鳩山元総理の後任として、選挙前で支持率が少々下がろうとも、前任者にそういう場を作る、くらいの礼は尽くしてもいいのでは?



・再任を辞退した赤松元農林水産大臣だけど、宮崎県の口蹄疫に関して、早期封じ込めに失敗した責任は誰がとるのだろうか?勿論、彼が責任を負うべきなのは明らかなのだが、「責任ととって辞任」ではないようで、「再任を辞退」という何だかあやふやなままに過ぎてしまっている。このまま総括なして済ます、ということなのだろうか?これでは自民党政権の時よりも質が悪い気がする。




・そもそも菅総理は、6月4日(金)民主党代表選代表に勝利して総理に就任したのに、組閣は4日後の6月8日夜。北朝鮮情勢も宮崎県の口蹄疫問題も、国家的に重要な懸案があったにも拘らず、この空白の4日間の危機管理はどうなっていたのだろうか?例えば、この間、北朝鮮に何らかの軍事的動きがあった場合、鳩山元総理が采配をふるったのだろうか?政権与党として、余りにも感覚が「平和ボケ」(←古い言葉)していないだろうか?
今日(6月14日)代表質問で、国民新党と会派を組んだ新党日本田中康夫がこのことについて質問していた・・・けれども、時間になって(NHK国会中継は18:00で終わった)切れてしまった。普通なら深夜録画で放送されるところだけど、今日は何といっても今から日本VSカメルーンの試合があるからして、果たして何時になるのか?
田中氏は、好き嫌いは別にして(本当は余り好きではない)、「政治家の言葉」という点では極めて上質で格調高い質問を行っていた(途中で切れた〜!)。ふと頭をよぎったのは、「彼ほどの『言葉遣い巧者』ならば、消費税増税も、年金制度改革も、国民に説明・説得できるかも?」ということ。そんな政権ができるだろうか?




・奇しくも、今日の未明に小惑星探査機」はやぶさが7年かけて宇宙から持ち帰った回収カプセルが予定通り正確にオーストラリアの砂漠に落下したらしいが、アメリカ、ロシア、中国との宇宙開発競争は熾烈だけど、やはり日本が、

「世界一を目指す理由は、ここにあるんじゃないでしょうか?2位を目指していたらダメなんです!」

と言いたくなります、あの人に。
事業仕分け時の、
「「世界一になる理由は何があるんでしょうか?、2位じゃダメなんでしょうか?」
という発言で、歴代のノーベル賞フィールズ賞受賞者から総バッシングを受けた蓮舫行政刷新相だが、彼女が「事実上の凍結」と予算凍結、と仕分けしたけれども、結局このスパコンの予算は復活したわけで、ということは取りも直さず蓮舫大臣の「仕分け能力がなかった」ということなのだが、彼女は仕分けのパフォーマンスをするだけで、結果に責任を持たなくていいのだろうか?としたら、蓮舫氏に対して失礼であろう。「パフォーマンス用のお飾り」ではないのならば、仕分け能力を問われなくてはならない。問われないのならば、やはり客寄せパンダ(←古い喩え)でしかないことになるから。



・鳩山元総理が去年国連気候変動首脳会議で、温室効果ガス25%削減(対1990年比)」かってにぶち上げた演説してしまったのだけれど、

奇兵隊内閣はこれを継承すると言っているのだけれど、逆に「なかったこと」にはできないのだろうか?冗談抜きで「アジアのギリシャになりかねない日本が、産業にマイナスの影響の出る施策を本気で実行するつもりなのだろうか?




菅総理大臣が就任会見で「最小不幸社会を作りたい」と述べていたけれども、「不幸」を「最小にする」だけの政府、って情けなくないだろうか?菅総理がこの言葉を使い始めたのは20代の学生の頃らしいが*1市民派の少壮政治家ならともかく、総理大臣の言葉としては少々悲しい。やはり総理大臣たるもの、国民の「最大の幸福」を目指してこそであり、国民に明るいビジョンを示さないでどうする!ちょっと世界の他の国々の首相や大統領を思い浮かべて、こんなにショボいビジョンを就任会見で示しているところはないんじゃないか、と思う。




マニフェスト関連の突っ込みは、今日各党の代表質問で十分なされていたと思うけれども、いくら質問しても答える側にそもそも解答がないのだから、質問しても虚しい気がする。今、菅内閣の大臣で、去年の夏のように熱くマニフェストについて語る大臣が残っているだろうか?皆、普天間基地問題で迷走中の時の前総理の空ろな目になってはいないだろうか?
これから一ヶ月、国民がワールドカップに浮かれている間に、気がついたら全て既成事実になっている気がする、本当に「パンとサーカス」とはよく言ったもので・・・。